【ある「元」大手管理会社取締役つぶやき その62】 管理組合の役員規定は柔軟に

皆さんのマンションの管理規約では、いまだ「管理組合の役員は当マンシションに現に居住する組合員の中から選任する」といった規定になっていませんか?

管理規約は組合員の総数と議決権の総数のそれぞれ4分の3以上(総会に欠席の組合員や議決権も分母にカウントしなくてはいけませんから大変です。)の賛同を得て変更可能です。ぜひ見直されてはと思います。

賃貸住戸の割合はこれから増加するばかりです。築年数に応じて組合員の高齢化は不可避です。地方都市や立地のあまりよくない地域ではすでに空室の割合が増加しています。これらの事象は少子高齢化が進む日本において、どんどん進行してゆくでしょう。 役員のなり手が不足し、組合運営の担い手がいなくなれば組合運営がままなりません。

役員を「現に居住する組合員」とする管理規約条文は、旧来の標準管理規約に規定されていたため、いまだこれを採用しているものが多数を占めるのは残念なことです。さすがに国土交通省は 改訂標準管理規約ではこれを撤廃しました。そして更に外部の専門家(マンション管理士など)を役員に選任することまで踏み込んだ指針を提示するまでになったのです。マンションの今後の運営を考えれば当然のことと思います。

___私は、理事のなり手を確保するために、役員のなり手にはもっと広く門戸を開くべきだと思っています。

管理組合活動の主たる目的はマンションという不動産価値を良好に維持することです。美観を保ち環境を整える。コミュニティー関係を良好に保つ。生活のルールを遵守し住みやすい環境を維持する。みんな大切ですが、最大の使命は不動産価値の維持向上だと思います。
それならばこの主たる目的に関わるにふさわしいのは、マンションを相続する権利をもつ組合員の配偶者、親、子などではないでしょうか。彼らが役員に就任できるよう管理規約の変更を検討されるよう強くお勧めします。

海外に長期で単身赴任中の区分所有者の奥様や、老人性痴呆の区分所有者と同居して介護に当たられている長男など、管理組合員と同じ目線、同じ価値観を共有できる立派な理事長候補者だと思うのです。更には区分所有者の役員が不都合により理事会に出席できない場合はこれらの者が代理人として理事会出席を認める内容も付加されればと思います。

「規約の役員の規定は確かに現に居住する組合員となっているけど、うちのマンションはこれを柔軟に解釈しているから、実際は理事会出席者全員が区分所有者の奥様といった運用をしているから大丈夫。」などと安心してはいけません。
マンションの建て替え決議、規約の変更、共用部分の変更、義務違反者への措置(追い出し決議)、各種の訴訟で原告となったり被告となったりする事案においては、総会へ上程する議案審議は理事会決議事項です。争いや意見の分かれる微妙かつ重要な総会決議において、これらに反対する者は、時に正式な理事によらない理事会の議案審議を無効と言い立てて、総会そのものを不成立とする主張を展開するかもしれません。それほど理事会は厳密な運営が望まれるのです。

ただし、不動産価値の維持保全に直接の利害関係がなく、さらには区分所有者と利害が対立する可能性がある賃借人などは理事としては不適任と思いますのでご注意ください。
また、法人格を有する管理組合では、理事は代理人が務めることができませんし、登記簿に登記された理事は全員が管理組合を代表することになりますのでご注意ください。要するに理事に選任された全員が理事長とみなされるということです。対外的な契約を理事のどなたが行っても法的には有効となってしまいます。

管理規約の中で、「管理組合法人の理事は理事長(のみ)とする。」と規定すれば、任意の団体の(一般的な非法人の)管理組合の理事と同様に理事長だけが管理組合を代表することとなります。この場合でも管理規約で理事長以外の役員の理事会への代理人による出席を認める規定を設けることは有効という扱いになります。

この記事書いた人

マンション管理会社の役員という立場を離れてこの業界を眺めると、大企業の系列管理会社であっても決して管理組合にあからさまに語ることのできない、裏の一面を各社隠し持っていることがわかります。

匿名だからこそ本音で、時にはきわどい発言も続けてゆき、マンション管理組合の運営がより実りあるものにできたらと思います。

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