【ある「元」大手管理会社取締役つぶやき その69】ポイント制導入で管理組合活性化 

消防点検や配水管の清掃を定期的に管理会社に委託するものの、組合員の協力が得られないために一向に未実施の住戸が無くならないとお嘆きのマンションが多いことと思います。

未実施の住戸が多数あっても、全住戸を完全に実施しても管理委託費に変わりはありません。なんとももったいないですね。管理組合への関心が薄れると総会の出席者すら確保できず、流会になってしまう場合だってあります。組合員の皆さんには、もっともっと管理組合の運営と設備点検などの保守管理に協力してもらいたいものです。

この問題を奇想天外な発想で打開した管理組合があるそうです。
管理組合が独自のポイント制を導入したのです。

消防点検を行うと○○ポイント、排水管清掃を行うと○○ポイント、総会に出席すると○○ポイントなどとポイントが付くのです。たまったポイントは定期的に、なんと管理費の割引に利用できるのだそうです。

そして文字通り現金なもので、管理組合業務への組合員の協力は目覚ましく改善されたとのことです。管理組合の決定に理解を示した管理会社の協力もあり、管理費とポイントを相殺する業務処理でポイントを還元しているようです。
管理費の滞納者のポイントは失効するなど、様々工夫を凝らせば管理組合ポイントは相当な効果が期待できそうです。

私も、マンション外部に居住する組合員に対して、役員に就任する組合員の責務を果たせないのだか
らと、管理費を割り増しして負担させる例があることは知っていましたが、管理費を管理組合のポイントで相殺できるマンションがあるとは驚きました。

私はかねてより、分譲マンションに居住するか否かで管理費に差をつけるのは疑問に思っていました。国土交通省の標準管理規約も、現に居住する組合員に限っていた旧来の役員の選任制限を撤廃しました。私としては、更に役員の選任を親族にまで広げ、多くの組合員及びその関係者が組合運営に関わってほしいと願っているからです。監事の業務などは毎回の理事会への出席義務も無いのですから、外部に居住する組合員であっても十分全うできるものと考えます。

役員になれないからとの理由で割増の管理費を設定し、役員のなり手がいないからと役員報酬を十分に支払うなどとした場合に、取り決めを行った当初の思いに反して、組合員の間に思わぬ亀裂を生むケースがあるのです。私も役員報酬を得て自主管理組合の監事に就任し、会計監査で明らかになった理事長の不正を総会で報告した際、「給料を取っているのだろう。もっとしっかり監査できなかったのか。」と組合員から叱責された経験があります。

「お金を負担したのだから自分は義務を果たした。」との組合員の認識と、わずかばかりの役員報酬で管理組合の役員を引き受け、ボランティアだと自認する役員の認識。いったん出来てしまった溝は、埋めようとしてもなかなか叶いません。

組合員の義務を果たし、管理業務に協力することを積極的にポイントとして評価し、金銭に置き換えることに、違和感がないわけではないのですが、なんだかゲーム感覚で組合運営に積極的にかかわる組合員が増えることは悪くないですね。

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