【新人マンション管理士レポート】大規模修繕工事講習会に参加してみた(2)

新人マンション管理士_ブログ
マンション管理士 新人のメル夫です。只今メルすみごこち事務所で研修中です。
東京都マンション管理士会主催の大規模修繕に関する講習会に出席した時に感じた、「気づき」をリポートさせていただきます。第2回目は、「建物調査・診断」をリポートします。

 

【建物調査・診断の目的】

建物調査・診断の目的は、建物の劣化・損耗の実態を的確に調査・診断し、「問題点」に対する将来の影響を予測し、適切な対策を明示することです。

【建物調査・診断にて行うべき内容】
以下の4つがあげられます。
  「問題点」が経年劣化によるものか、当初建設時または前回修繕工事の不備によるものなのかを明らかにする。

  「改良・改善」が望ましいのはどこかを見極め提案する。
  緊急に対処すべき事項と、基本的対策・方法を指摘する。
  大規模修繕としてまとめて行うべき事項、内容、及び時期を提言する。

【建物調査・診断のプロセス】

① 事前作業
資料確認・予備調査及び、アンケート調査からなります。なお、アンケート調査は、設備の現状を知るために重要であり、回収率が勝負。個別訪問してでも回収するようにしましょう。

② 現地調査
工事項目には修繕周期がありますが、基本的に目安であり、実際の使用状況やマンションの立地環境、実際の設備資材の耐久性などによって違いが出てきます。目視調査から始まり、コンクリートの中性化状況(※1)、仕上げ材の付着力調査(※2)等を実施します。調査員によるバルコニー立入り調査は理事会との調整が必要です。
③ 報告

理事会や大規模修繕委員会等に診断結果を報告し、現状を理解してもらいます。状況によっては、工事の時期等を見直すことも十分あり得ます。

 

 【メル夫の今日の勉強】
今回テーマでの「気づき」は以下の3つです。

➀ 「改良・改善が望ましいのはどこか」すなわち、グレードアップの取り込みがとても重要だということ。従来大規模修繕工事は当初機能への復旧がメインだと思っていましたが、今回の講習で、「グレードアップの取入れ」ということが、マンションのすみごこちのみならず、資産価値の低下を抑制する効果があるので、予算の許す範囲でできるだけ取り入れることが、とても重要なことだと認識しました。
テンションが上がりますからね

「問題点が経年劣化によるものか、当初建設時または前回修繕工事の不備によるものなのかを明らかにする」ことが重要だということ。例えば、仕上げ材の付着力調査にて、好ましくない結果になった場合、経年劣化によるものか、あるいは前回の大規模修繕工事に不備があったのか明らかにすることにより、修繕費用に影響を与える可能性があることを認識しました。
不備ってケース、結構ありますよ

「壁面剥離による落下事故等」で通行人等第三者に対する事故につながることは、絶対に起こしてはいけないと思いました。そのためには、「しっかりしたところにしっかり見てもらうこと」が、最も大切です。
落下してうれしいのは落花生の生産者とジェットコースターファンくらいでしょう

マンション管理士として、コンサルタントの報告内容を組合員に理解してもらうことが責務ですが、 そのためには、  調査結果を「管理組合目線」でよく咀嚼し、大規模修繕計画の必要性を再認識してもらうことが重要です。頑張ります!!

 

【ご参考】

 (※1)コンクリートの中性化状況
コンクリートは元々圧縮力には強いが、引張力には弱く(圧縮力の10分の1程度)、この引張強度を補完するのが、「鉄筋」です。この「鉄筋」を錆という中性化・炭酸化(経年により空気中の炭酸ガス等と反応しアルカリ度が低下してゆくこと)から守るのがコンクリートの「強アルカリ」です。 つまり、中性化状況が進むとは、「強アルカリ」が弱体化するということなのです。錆が発生すると、錆は鉄筋を膨張させ、膨張した鉄筋は、コンクリートにひび割れを生じさせます。ひび割れの隙間から水が入り込み、さらに錆びるという加速的悪循環を生じるのです。

      

(※2)仕上げ材の付着力調査
外壁仕上げは、紫外線、日射等に起因する熱変化、及び降雨等により劣化し、付着力が低下します。この試験は現状での付着力強さを把握するものです。

マンション管理組合の学校 新人マンション管理士 メル夫

 

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