【マンション管理のリスクをアライ出す、元理事アライのコラム】記録を残す ~マンション管理規約改正実績の一覧表

記録を残すー改正実績の一覧表

私はマンションの管理規約の全面改正を行いましたが、その際いくつかツールを作成し使っていました。今回はその中の1つのツールをご紹介したいと思います。

管理規約は最初に作ったときのまま放置せず、適時見直しを行って改正していくことが大切です。適正な管理が行われているマンションでは、標準管理規約が改正されたときにその内容を確認したり、マンションの実情に合わせて規約を手直しするなどしています。年数が経過するうちに改正は何回も行われ、その箇所も複数に渡ることになるでしょう。

うちは20年以上ほとんど改正されていませんでしたが、それでも何回かはありました。毎回ごく一部の改正で新旧対照表のようなものは作られず、変更箇所や内容は総会議案書や議事録の本文中に埋まっていたため、私はそれを議事録から拾い出しました。
いつ、どの条文が改正されたのかは、前述のように総会議事録をあたれば分かりますが、20年分ともなるとなかなか骨の折れる作業です。今後のためにもそれがひと目で分かるものが欲しいと思い、規約改正の実績を管理する一覧表を作りました。

縦軸を規約の見出し、横軸を年度(期)とし、改正のあった年に当該条文の箇所に「●」印を付けます。
これだけではただの「表」でわざわざ「ツール」と言えるようなものではありません。見やすく、使いやすくするために以下のようなポイントを追加しました。

 

見やすいポイント

改正の有無が分かる

一度でも改正したことがある条文には、実績欄に自動的に「★」が付き改正回数が表示されます。


また、実績欄が「★」のデータだけフィルタリングすれば、過去に改正した条文だけ見ることができます。

いつ改正されたか分かる

改正が行われた年度は、1行目、2行目のセル色がピンク色に変わります。

簡単な表ですが、マンション管理関連の媒体で同種のものは探せませんでした。必要性が低い、あるいは無いのかもしれませんが、印刷して改正時の新旧対照表、総会議事録などと一緒に保管しておけば、どの条文がいつ改正されたかを簡単に漏れなく確認することができるので、作っておくと便利だと思います。

この表(エクセルのワークシート)は、管理組合の学校の運営にお願いして「無料テンプレート・資料集」からダウンロードできるようにしていただきました。

リンクはこちらです→https://schoolformkk.com/template/3982/

 

使い方(データの入力方法)

説明するまでも無いような表ですが、以下に使い方について記載します。データの入力と行挿入、列挿入ぐらいなので、エクセルが少々使える方なら使えます。

基本情報の入力

見出し欄(B列)に標準管理規約(単棟型)の見出し、C列に条名(第1条、第2条などの数字)を入力してあります。

D列とE列に、標準管理規約と対応するマンションの管理規約の条名(数字)を入力してください。ほとんどのマンションで標準管理規約と似た数字が入ると思います。

※ D列は原始規約の条名を入れる設定にしていますが、ここは空欄でも構いません。私は全面改正を行った際、条名を通し番号で振りなおしたので、改正前後の新旧の番号が欲しくて設けました。

マンションの管理規約にあるのに標準管理規約に該当するものが無い場合は、マンション独自の規定です。たとえばペット飼育に関する規定は標準管理規約にはありませんが、定義しているマンションは多いと思います。こういう場合は行を挿入して追加し、実績欄(F列、G列)の数式を、前後の行からコピーしてください。

※ 見やすくするために1行おきにセルに色を付けていますが、行挿入しても色は1行おきに付くようになっています。

一方で、標準管理規約にはあるのにマンションの管理規約に無いケースもあります。たとえば第19条の2(暴力団員の排除)、第36条の2(役員の欠格条項)、第37条の2(利益相反取引の防止)は2016年の改正で新たに追加されたものです。こういったものがあったら条文の内容を確認し、マンションの管理規約改正について検討すると良いでしょう。

改正実績の入力

改正した条文は、該当する場所に「●」を入力します。セルの右側の▼をクリックするとプルダウンが出ますので、「●」を選択してください。

印刷

この一覧表はA3縦の用紙に25期分が印刷されるように設定してあります。

 

最終的にはプロの力も必要、でも丸投げはしない

このツールは標準管理規約を基準にしてマンションの管理規約を紐づける形にしていますが、必ずしも両者を合わせる必要はありません。
国土交通省は標準管理規約のコメントの中で「標準管理規約で示している事項については、マンションの規模、居住形態等それぞれのマンションの個別の事情を考慮して、必要に応じて、合理的に修正し活用することが望ましい」とコメントしています。

実際に、個々のマンションの実態に即した規定が必要な場合もあり、私も判断に迷うことがありました。うちの場合、標準管理規約と比較してみると相当な乖離が認められたため、まずは高度な判断を必要としない改正のみを行うことにしました。
積み残した課題は将来的に時間を掛けて検討し、その際はプロの力を借りることも視野に入れるという方針でやっていました。しかし、プロに依頼する前に理事が自ら管理規約をじっくり読んでみて、理解できないところ、問題と思うところなどを把握しておくことは大切なことです。

One thought to “【マンション管理のリスクをアライ出す、元理事アライのコラム】記録を残す ~マンション管理規約改正実績の一覧表”

  1.  管理規約については、改正するたびに、原本全部を作り直し、1部だけは、現行管理規約集として、不動産仲介業者に提供するものとしておくと、組合員の閲覧申請があった時も慌てずに済みます。 管理規約は、管理会社に関係がなく、管理組合だけが順守すべきものとの考えが蔓延しています。 多くの管理組合員は気が付きませんし、不動産仲介業者に管理会社が間違った(古い)管理規約が交付されても、確認しようがありません。 管理規約は難解ですから、購入された方も読まない(正確に言うと、読めない)ので、デタラメがまかり通ります。 このことは、マンション管理業協会も認識して、注意喚起していますが、肝心の管理会社が出鱈目ですから、業界団体の信用をかけて、徹底すべきです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA


アーカイブ