【フロントはメールを読んでいるのか問題】5.見積もり

理事会でインターホンと鍵の仕様を絞り込み、管理会社に見積もり依頼したのが5月31日。
ここからフロントがやらなければならないことが一気に増え、メールでのやり取りが始まるのだが、彼は平常運転からなかなか抜け出さず、レスポンスの悪さが目立ってくる。
本題である「フロントはメールを読んでいるのか問題」について、細かく見ていくことにしよう。

提出期限は6月15日だったが、7月になっても見積もりはこない。今回はスケジュールが決まっていてデッドラインがある。予想していたとはいえ、これは問題だ。また、発注先は管理会社だ(最初は相見積もりを取ることになっていたが、いつの間にか管理会社発注が決まった)。彼らにとっては美味しい仕事、利益を上げるチャンスのはずだ。

こんなときくらい締め切り守れよ。

見積もりが提出されたのは7月7日。12日に理事会が予定されており、その5日前のことだ。
メールにはインターホンリニューアルの提案書と見積書が添付されていた。
提案書は管理会社とインターホンメーカーの連名、見積書は管理会社の単独名義となっていた。メーカーと管理会社の利益が乗った見積もりだ。まあ、これは企業としては当然だろう。
提案されたプランは前述の3つで、それぞれの見積書が提出された。

プラン1が一番安価で、プラン2、プラン3と徐々に高くなる。その差はそれぞれ10%程度で、仕様の違いから考えるとそれほどの差は感じられなかったが、見積もりをボーっと見ているだけでは3つのプランの違いが良く分からない。
そこで私は見積もりをエクセルに入力してみた。名称、型番、見積金額のほかに定価も記載されている。見積金額と定価があるから値引き率を計算する数式を追加した。
そして3つの表を1つにまとめてみたら見えてきたことがあった。
まず、ほとんどの品目で違いが無い。型番も金額も同じ。機能にはそれなりの差があるので、構成する品目もいろいろ違ってるんだろうなーと漠然と考えていたのだが、違っているのは住宅情報盤だけ。機能の差は住宅情報盤の差、そして住宅情報盤は各部屋に設置されるので、この金額の差が見積もりの総額に大きく影響してくる。
プラン1の住宅情報盤はプラン2、プラン3とは別製品。プラン1は機能が若干低いため定価が安い。プラン2と3は同じ製品。
割引率を見ると、高い順にプラン3、プラン2、プラン1となる。定価が安いが割引率が低いプラン1と、定価が高いが割引率が高いプラン3の見積額がなぜか同額となっていた。プラン2とプラン3は同じ製品にも関わらず割引率が異なる。
プラン3は各部屋の前に設置するカメラの分、他のプランに比べて総額では高くなる。
そして、最後に設定されている「値引き」がプラン1で一番高く設定されていた(他プランの2.5倍と3.3倍)。
こうして3つを並べて比較した結果、品目、というか構成する部品にほとんど差が無いことが分かった。インターホンシステムという私にとっては未知の設備について、多少なりとも判断する手掛かりとなったのである。
ただし、金額については比較してみても意図が良く分からない、というのが私の印象だ。門外漢の私には読み取れないだけかもしれないが、結構適当に値付けしてるんじゃないのか、とも思う。

期限に間に合ったはずなのに

書類の日付を見ると提案書は6月(日にちの記載無し)、見積書は6月12日なのに、メールが来たのは7月7日。書類ができてからすぐに送れば、提出期限の6月15日に余裕で間に合ったはずだ。
また、鍵の見積もりも依頼していたのだが、こちらは来ていない。
メールにはインターホンの見積もりが遅れたことに対する謝罪が無かった。鍵についてもまったく触れていない。この、顧客に対するしょっぱい対応は、他の業界ではまず無いだろう。フロントは締め切りを守ろうという気が無いのか?
ただし、このころはまだ時間的に余裕があった。
それまで、この手の見積もりや資料は理事会当日に配付され、決定しなければいけない工事があればその場で決議して発注してきた。理事会もゆるいのだ。このぬるま湯体質がフロントの舐めた仕事ぶりを招いたと言えるかもしれない。
限られた時間の中で検討や議論をしながら資料の詳細な確認はできない、理事会前に送ってくれ、とそれまでも何回か言っていて、今回やっと事前に送付された。それを以って良しとしてしまい、期限後の提出であったことを注意しなかったのは良くなかったかもしれない。

つづく

(photo by photoAC)

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