【フロントはメールを読んでいるのか問題】9.鍵のID管理

理事会は5月に電子キーの採用を決定したが、採用候補から外れて頼んでもいないシリンダーの見積もりが提出されたり、相変わらず提出期限が守られなかったりして、ようやく依頼した見積もりが提出されたときには8月になっていた。

さらに問題なのは理事会が採用する製品を決定しようとしているこの時点で、管理会社からも鍵の業者からも採用候補の電子キーの仕様について説明されていなかったことだ。
理事長と一級建築士の理事は個別ID方式採用を早々に表明したが、不明点が多すぎ、理事会での検討も十分にされていない状況での判断は危険すぎる。
建築のプロ2人の結論に待ったをかけようと、私は、理事会で配付された業者からの資料に記載されていた製品名を手掛かりに、電子キーの仕様について調べてみた。

●一括ID方式
マンション全体で1つの同じIDが付与されたシステム。誰かが鍵を紛失してもIDの抹消はできない。セキュリティ的には現在のシリンダーと同等となる。
誰かが鍵を紛失したらどうするか?「全とっかえ」か「そのまま」か。
うちは「そのまま」だ。共用鍵すべてを交換するようなセキュリティ重視のマンションもあるようだが、うちではそういった実績はない。エントランスのオートロックにそれほど高いセキュリティを求めていない人が多いと思われる。また賃貸入居者が多く人の入れ替わりもそれなりにあるので、全取っ替えは現実的ではないだろう。

●個別ID方式
ネットを検索したら、採用予定の製品シリーズのカタログがあった。それによると、
制御器を中心として、最大8カ所までゲート管理ができる。エントランスの扉や裏口の扉などのほか、宅配ボックスやエレベーター制御機器、EV充電器などが、それぞれゲートとして管理できるようだ。
また、スイッチングハブを介して制御器とPCを接続することができる。PCにインストールした管理ソフトによってIDの付与や抹消を行ったり、ゲートの操作や制御器のログ確認が可能な、先進の高機能システムとなっている。
PCによる管理は通常管理組合では行わない。住人が鍵を紛失した場合のID抹消や新しいIDの付与もPCの管理ソフトで行うことになるが、おそらく管理会社か鍵の業者が有料で行うことになるので、従来のスペアキー作成よりも高くなるはずだ。

以上がネット検索で得た情報だ。

うちには宅配ボックスもEV充電器もない。エレベーターも昇降するだけの普通のもので、インターホンシステムに連動するようなインテリジェンスなものではない。鍵を紛失すると、個別ID方式はおそらく2万円前後掛かる。個別ID方式はオーバースペックではないのか?
あるいは、将来を見据えて、たとえば何年か後にエレベーターを更新する必要があるが、自分が住んでいるフロアのボタンだけが押せるような高機能エレベーターが導入できるように、鍵のシステムを高度なものにしてインフラを整えておく、という考え方もある。
また、鍵のIDを管理組合で管理することによってシェアハウス対策をするなら、個別ID方式が必要だ。
理事会としてはコストと性能、利用者の利便性などを天秤にかけて吟味する必要があると思うのだが。
現時点では採用システムを決めるための情報が少なすぎる。理事の間で意見交換も無く、理事長+もう1人が自身の結論をメールで表明しただけだ。メールにはその結論に至った根拠は記載されていない。
これで決めていいわけないだろう。

つづく

(photo by photoAC)

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