【新人マンション管理士レポート】マンションの理事になった人のための植栽管理入門(1回目)

メルすみごこち事務所のメル夫です。只今研修中です。
今週メル夫が理事をしているマンションの理事会があります。その議題の中に、マンションの裏庭の樹木の伐採について議題があります。
誠に残念な議題ですが、無駄なものにお金は払えないとの提案です。どのように考えたらよいでしょうか。

【マンション植栽の現実】

ほとんどのマンションには、規模は別にして、何かしら樹木が植えられていると思います。
その樹木はきちんと管理しないと、夏には葉が繁茂し、秋~冬には落葉し、マンションの周囲への自然の恩恵と同時に落ち葉を残します。
それに対する受けとり方も、感謝がある一方で、メル夫のマンションのように「不要だ」とする方もいます。

【マンションにおいてよくある植栽の課題は?】

それでは、一般的にマンションでは植栽に対してどのように考えられているでしょうか。
主に郊外に立地する大型マンションの場合がほとんどですが、よくある植栽の課題を整理すると以下の3つのようです。

①少しずつ植栽が枯れてきている、あるいは繁茂しすぎている(虫が付いている)気がしますが、どうすればいいですか?

②長期的に資産価値を維持する、あるいは更に高めていくには、「植栽や外構空間の見直しが必要だ」といわれていますが、具体的にはどうしたら良いでしょうか?

③マンションの敷地内でガーデニングを楽しみ、マンション内のコミュニティ形成に繋げることが出来ればと思いますが、具体的な手法を教えてください。

【課題解決のためのプロセスは?】

よく言われる課題解決のためのプロセスは次の3つです。

① 現状における問題点の抽出。住民の要望の把握。対策案と費用見積。(現状把握)
② 現状と対策の広報。意見交換。イベント等のトライアル。(合意形成)
③ 樹木診断⇒管理改修計画案⇒理事会審議⇒総会承認(具体化への行動)

いずれにしてもアクションを起こすには、オピニオンリーダが必要です。

住民の方の意見を代弁できる理事長ないし担当理事の任命、あるいは植栽委員会等を立上げ、委員長に取り纏めの権限を委嘱するくらいのことが必要です。

【植栽改修は「共用部分の変更」にあたる】

忘れてはならないことですが、植栽変更は「共用部分の変更行為」にあたりますので管理組合の総会決議事項であることから、区分所有者の独断で樹木を伐採等してはいけないのです。

具体的には、区分所有法第17条において、「共用部分の変更は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上による集会の決議で決する」と定められています。
但し、樹木の伐採がマンションの概観に大きな影響を及ぼさない限り、その決議要件は普通決議で足りると思われます。

【植栽管理に関する事例を考える】

メル夫はここまでの整理をもとに、自分のマンションの小さいながらも植栽議論をどうすれば良いかを考えてみましが、その前に、今迄に経験させて頂いた管理組合の「植栽関係の議論」の中で、印象に残る事例を整理してみました。

①千葉県の築15年(総戸数500戸)の大規模マンション
敷地も広く大きな公園にいるような感覚でした。理事会の中の1分科会で植栽管理についてもきちんと議論され、大手の植栽コンサル会社をコンペで契約し、女性の理事の方から生活感あふれる議論が積極的にされていたのが印象的でした。(先進型事例、課題2の参考事例)

②東京都心の築35年(総戸数100戸)の中規模マンション
マンション自体に植栽はありませんが、住民の方の高齢化に伴い、エントランスの花壇3か所をみんなでガーデニングとして楽しもうという活動が進んでいました。コミュニティ形成に有効だと思いました。(努力型事例、課題3の参考事例)

③東京都下の築25年(総戸数75戸)の中規模マンション
専用庭以外の緑は少なく、1階通用口周辺に植栽がありましたが、存在感が乏しかったと思います。人工芝に変え子供の遊び場化の議論がありました。(検討中事例、転用検討事例)

【メル夫の気づき】

大規模な植栽計画の検討には、専門家の提案力が大事です。色々な事例や対策案を保有していますので、大事な管理組合費の有効な活用のためには、規模が大きければそれだけ信頼できる植栽コンサル会社の活用が必要だと思いました。

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