【新人マンション管理士レポート】防火・防災管理、消防署の指導事例から

メルすみごこち事務所のメル夫です。今回は、メル夫の行っている防火・防災管理に関する消防署からの指導事例から、タメになると思われる事例を紹介したいと思います。

【防火管理者及び防災管理者の違い】

「防火管理者」とは、多数の人が利用する建物等の火災による被害を防止する為、防火管理にかかる消防計画を作成し、防火管理上必要な業務を計画的に行う責任者です。

「防災管理者」とは、消防法に基づき、建築物等の所有者又は管理者の選任を受けて、避難訓練の実施、その他、火災以外の災害による被害の軽減のための活動計画・実施の責務を負うものです。

防火管理者と防災管理者の違いは、選任義務対象物の定めの違い、すなわち、
(1) 防火管理者は、入居者・滞在者の種別と人数
(2) 防災管理者は、建築物の階数と面積

したがって、防火管理者の選任が必要でも、防災管理者の選任は必要でない場合があります。

【防火管理者・防災管理者の選任の必要な場合】

防火管理者の選任義務のある防火対象物は、主に次の3つです。
①避難困難施設で、全体収容人員が10人以上。(避難困難施設:火災発生時自力で避難することが著しく困難なものが入所する社会福祉施設等)
②特定用途の防火対象物で同30人以上。(特定用途:劇場・飲食店・店舗・ホテル・病院等不特定多数の人が出入りする)
③非特定用途で同50人以上。(非特定用途:共同住宅・学校・工場・倉庫・事務所等)

防災管理者の選任義務のある防火対象物は、主に次の3つです。
①地階を除く階数が11階以上で延べ面積1万平米以上
②5~10階で2万平米以上
③4階未満で5万平米以上

したがって、一般的なマンションは防火管理者の選任が必要ですが、あまり大きくない建物は防災管理者は不要です。

【防火管理者・防災管理者の両方の選任が必要となる事例】

メル夫は今週、東京都心の駅前大型ビルの1室を賃借し営業されている「貸し会議室会社様」から「防火管理者」を委託され、防火管理者の選任届を所轄の消防署に届出ました。この1室は50平米で収容人数は40名でした。
「特定用途の防火対象物で同30人以上」のため、防火管理者は必要ですが、この賃貸している「1室は50平米」なので、防災管理者は不要と考えていました。
ところが、所轄の消防署から、当該案件は「1室は50平米」であっても、「建物全体」が防災管理者の選任が必要な場合は、防災管理者の選任が必要になる、との指導を受けました。

【防災管理者選任の要否】

重要なことは、防災管理者の選任の要否は「建物全体の規模で判断する」ということです。
タワーマンションは1万平米以上あれば、防災管理者の選任が必要であることはわかっても、最近増えているビルの1室の防火管理者の委任のケースでは、顧客情報の中に「ビル全体の階数、延べ面積」は記載されていないケースが殆どです。しかしながら、防火管理者だけでなく防災管理者の契約も必要になる可能性がある為、事前の確認がキーです。

【メル夫の気づき】

質問があったのは、都心高層ビルのワンフロアオーナー。ビル全体であれば、統括防火管理者と防災管理者の選任が必要だったのですが、ワンフロアオーナーの場合は防火管理者だけでよいと、回答をしてしまいました。「ビル全体の規模が防災管理者の選任が必要であれば、当該都心高層ビルのワンフロアも防災管理者の選任が必要です」と訂正しました。

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