【元管理会社取締役つぶやき その5】愚民政策で管理組合を食い物にする管理会社

元大手管理会社取締役_ブログ

【ある「元」大手管理会社取締役のつぶやき】
愚民政策で管理組合を食い物にする管理会社

管理会社のリプレイス(契約先の変更)が頻繁に行われる時代になりました。

新築時に分譲事業主とのなれ合いで(管理会社が分譲事業主の子会社の場合はもちろん、そうでない場合も飲食やゴルフの回数が物を言います。)せっかく割高の管理委託料で管理契約を決めてもらっても、最近のマンション管理組合の皆さんはいろいろ勉強していますので、安泰ではいられませんね。

そのため、管理会社はあの手この手でリプレイスされない手立てを講じています。

①管理組合役員は輪番制とし、一年任期で交代させる
理事の負担を公平にシェア―するという「一見して民主的な輪番制」は、管理会社の思う壺です。
マンション管理に関心がある人、リーダーシップのある人、うるさい人も、理事会役員の任期である一年を我慢すれば過ぎ去ってしまいます。

次の年は管理会社の言いなりの羊のようにおとなしい理事会役員が待っている確率が高いです。

②管理組合の情報を管理会社が管理する

管理会社は理事会役員に組合員全員の住所や連絡先を教えません。管理会社の知らないところで組合員主導で理事会や総会が開かれ、知らない間に管理委託契約が解約になるのを一番恐れているからです。

最近では、理事会役員が誰なのか一般の組合員に教えないこともまかり通っています。
「個人情報保護」の名のもとに、組合員が当然閲覧する権利がある総会等の議事録でさえ、組合員に配布するときは部屋番号や個人名を伏せているのです。
理事会議事録に替えて、理事の名前が登場しない「理事会だより」のみを配る管理会社もあります。

理事会役員が自身の選出母体である組合員に接触するにも、選出した組合員が理事会役員に接触するにも、すべて管理会社を通させて、その動きを察知するのです。

本来、理事会役員を選んだ組合員は、理事会にどの役員が出席し、どんな発言を行い、誰が欠席したか知る権利があるのです。そうでなければ選出した理事に管理組合運営を任せるという間接民主主義は成り立ちません。

組合員に理事の実名を記した書類を配布することに何の違法性もないのですが、管理会社から「個人情報保護法」を持ち出されると、皆そうかなと思ってしまうのです。
法律や専門用語で素人を煙に巻くのが管理会社です。
こんな管理会社ですが、自身が解約される総会が理事長から召集されると、とたんに個々の組合員にメールや電話で命乞いの切り崩し攻勢を堂々と行なうのです。これは分譲系・独立系問わずです。

このような時に個人情報を使うのはおかしくありませんか?

③管理規約で第三者管理の管理者として管理会社自らを指定する
特定の管理会社を管理規約に定め、永続的に管理を委託することは違法ですが、理事長の選出に代えて、管理者を特定の法人(多くのケースでは管理会社)に定める管理規約は、残念ながら適法です。

第三者による管理者管理ではたいがい理事会もありません。管理者を解任したいと思っても、そのための総会を管理者である管理会社にお願いして開かなくてはいけません。

欠席者を含めた議決権の総数と組合員の総数(総会に出席した議決権、出席した組合員数ではありませんよ。)の両方で4分の3以上の票集めが必要です。先に述べた情報遮断の中でこれは絶望的な作業です。

④避難訓練、お祭り、イベント等、コミュニティー活動の議題が満載
大規模マンションやタワーマンション・団地は管理委託契約の委託料も大規模で、管理会社にとっては看板契約です。

大規模マンションになるほどコミュニティー活動の提案に管理会社は熱心です。管理会社も対応に熱が入るのでしょう。

しかし、本音のところはどうでしょう。
過度のコミュニティー活動は、理事会もこの話題だけで時間切れ。理事の皆さんも管理会社の投げかける議題をこなすのに精いっぱいとなりかねません。

重要な管理組合の課題が埋没しないか心配です。
管理会社の問題点を考えたり管理会社を変更したり……なんて余裕はないですよね。

これらのやり口は愚民政策ともいうべきものです。
ブリタニカ国際大百科事典では愚民政策を以下のように説明します。
『愚民政策(ぐみんせいさく)』
人民大衆の批判意識を抑えて体制に服従させるためにとられる政策の一つである。民衆を非識字状態にとどめておく教育政策や民衆に正しい情報を伝えない報道管制などはこの政策の典型といえる。だが民衆の皮相浅薄な好みを満足させ、彼らを脱政治的な生活意識のなかに埋没させる政策こそは、最も巧妙な愚民政策といえよう。
これをマンション管理会社と管理組合の関係に置き換えると、

  1. 輪番役員制で管理の情報や知識を蓄積させない➡管理の「非識字状態」
  2. 役員と組合員のお互いの情報を遮断する➡「民衆に正しい情報を伝えない」
  3. 管理者を務める管理会社の解任は規約変更で大変➡「体制に服従」
  4. 過度にコミュニティー活動にエネルギーを注がせる➡「皮相浅な好みを満足」➡「脱政治的な生活意識のなかに埋没」

ということが言えるのです。

管理会社との付き合い方で最も大切なことは、

管理会社を信頼しても信用(依存)はしない
管理会社の提案や自分たち管理組合の活動の「本質が何処か」を常に考える

ことだと私は思います。

菅 理(すが さとし)

マンション管理組合

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