【ある「元」大手管理会社取締役つぶやき その24】塗装工事と言えば全面塗装しか提案しない管理会社

 

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 【ある「元」大手管理会社取締役つぶやき その24】塗装工事と言えば全面塗装しか提案しない管理会社 

機械式駐車場のパレット(車が乗る鉄板部分)や歩廊の塗装が一部剥がれたり、錆が浮いたりしているので、塗装をすることになりました。

この機械式駐車場は地下と地上の2段式です。日頃地上部分に露出して雨風、日光に曝されているのは地上パレットと地上部分の歩廊だけです。

管理会社は全面的に塗装を塗り替える見積もりを提出しました。

歩廊面とパレット上面は全塗装も必要かと思いましたが、パレット裏面及び柱梁等は部分補修すれば十分だと思われました。

この塗装範囲であれば工事金額も半分くらいに落とせることがわかりました。管理会社としてはいったん決まりかけていた全面塗装の売り上げが、部分塗装で半減してしまい、残念だったと思います。

屋外に露出している地上パレット上部と歩廊部分に紫外線による白化現象があるものの、機械式駐車場の機能上は全く問題ありません。

工場出荷時にロボットによる焼き付け塗装を行った塗膜は手塗りの塗装よりも硬化性に優れ均質で長持ちします。タイヤ接触部分の小石等による傷、歩廊の淵の歩行による傷、組み立て時についたと思われる傷、ボルト締め等の接合部分等でさびは認められるものの、全体的に塗装が劣化し塗膜が浮くような錆の発生は無いのです。よって外観部分のみを全面塗装し、パレット裏面や柱梁は部分補修で問題ないと考えました。

 

管理会社の側からどうしてこんな管理組合の側に立った修繕提案が出てこないのでしょうか?
管理会社はパレットの裏側の劣化していない高品位の塗装まで、無理やり全部はがして全面塗装するといったことに罪悪感を感じなかったのでしょうか?

売上や利益を増やしたい管理会社の立場は当然理解できますが、他にも理由がありそうです。塗装業者は部分補修の受注をしたがらないのです。施工対象外であった箇所から施工後に錆が生じた場合のトラブルが心配なのです。

とりわけ管理組合という、よく判らない個人の集団相手だと、大きなクレームになることがあって、なにかと面倒だと懸念しているのです。全面塗装だとその心配はありません。

そのために塗装業者は全面塗装だと発注者に対して2年程度の保証書を交付するのですが、部分塗装だと保証書は出せないと主張するのです。業界の知恵なのかもしれませんが何とかならないものでしょうか。

 

心ある管理会社が英断を下し、「当社が元請けとなるなら、一定の元請け経費は頂きますが、部分塗装においても、施工対象範囲であれば保証はお付けします。」と言ってくれれば、ありがたみが湧きますね。管理組合と管理会社の距離が一気に近づくように思います。

 

 

菅 理(すが さとし)

 

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