【マラソンと日本酒をこよなく愛する弁護士のマンション管理コラム】マンションの「ペット飼育禁止」を考える

今回はペット飼育の禁止について考えてみましょう。

管理規約により犬猫の飼育が禁止されている場合に、これに違反して犬猫を飼育する区分所有者に対してその飼育禁止を求めることができるのでしょうか?改めて考えてみたいと思います。

ペットは、ペットの飼い主の区分所有者にとっては、家族同然の非常に大切な存在です。一方で、他の区分所有者に対しては、ペット飼育に起因する鳴き声や臭い、抜け毛に対するアレルギーなどにより、平穏な生活環境に悪影響を与えることがあります。
こうしたことから、他の区分所有者からはペット飼育の禁止を目的として管理規約の変更が求められたり、ペット飼育禁止規定の違反者に対する差止請求等の措置が採られることがあります。

まず、管理規約にペット禁止条項を定めることは有効でしょうか?

この点、管理規約によりペット飼育を禁止することは、判例上も有効と認められています(最判平成10年3月26日。別冊ジュリスト192号196頁)。
また、たとえ管理規約にペット飼育禁止条項が存在しなくても、ペット飼育に起因してマンションに著しい汚損が発生する等の具体的被害が存在する場合には、当該ペット飼育行為が共同利益違反にあたるとして、差止請求をすることができます(区分所有法57条1項)。

もっとも、ペット飼育禁止条項を管理規約に新たに盛り込むことが、従前からペットの飼育を行ってきた区分所有者にとって「特別の影響」(区分所有法31条1項)を与えるものである場合には、事前に当該区分所有者の承諾を得る必要があり、規約の改定が事実上困難になります。
それでは、ペット飼育禁止条項の創設が「特別の影響」を及ぼすものといえるのでしょうか?(つづく)

One thought to “【マラソンと日本酒をこよなく愛する弁護士のマンション管理コラム】マンションの「ペット飼育禁止」を考える”

  1. 勉強になります。うちのマンションもペット(特に犬)のトラブルで困っています。ペットは家族同然の世の中なのでどう折り合いをつけるか参考にさせていただきます。

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