【新人マンション管理士レポート】新人マンション管理士の相談会体験記(第9回)

新人マンション管理士のメル夫です。今回は自分が所属している、マンション管理士会地域部会の主催する相談会での相談事例について、参考になりそうな事例のリポートです。

【賃借人からエアコンの音への苦情対策を直接依頼された】

マンション市民相談ですから色々な方からの相談があります。今日は賃貸マンションにお住いの大学生でした。
市内の築25年の中規模マンション(総戸数50戸)の賃借人が、エアコンの具合が悪く、ものすごい騒音で勉強ができないと困り果て相談にやってきました。

マンションのオーナー兼管理人に訴えたら、「清掃をきちんとしてください」としか言わず、相手にしてもらえませんでした。賃借人としては、「一刻も早く正常に戻したい。この暑さではエアコンなしでは勉強ができない。エアコンの故障対応はオーナー責任でしょう。オーナーとうまく交渉出来ないか?」との相談でした。

【賃貸借契約の問題です】

一般的には設備付きの賃貸借契約では、設備の修理費用はオーナー負担です。しかし、修理費用がすべて大家負担とは限りません。エアコンのリモコンの乾電池交換やフィルターの清掃は、入居者の義務となっていることが多いです。

国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」の第9条「契約期間中の修繕」には、「甲(賃貸人)は乙(賃借人)が本物件を使用するために必要な修繕を行わなければならない。この場合において、乙の故意又は過失により必要となった修繕に関する費用は、乙が負担しなければならない。」但し、第3項に「乙(賃借人)は、甲(賃貸人)の承諾を得ることなく、別表第4に掲げる修繕を自らの負担において行うことができるとあり、畳表の取り換え、電球、蛍光灯、LED照明の取り換え、その他費用が軽微な修繕とあります。
負担する項目は、契約書ごとに追加削除できるので、確認頂く必要があります。修繕の負担が大きい場合もあります。

【清掃を外部委託した場合クリーニング代は請求できない】

エアコンの清掃は賃借人が行うことが前提のため、もし外部委託されても、クリーニング代は請求できないと思います。
ただし、「エアコンの重大な障害」が騒音の原因であることが判明した場合は、修繕をオーナーに申入れることができます。仲介した不動産会社を経由して交渉するとよろしいかと思いますが、交渉やメーカ診断に時間がかかりそうです。

緊急事態のようですから、メーカーのサポート部門に電話し、クリーニング作業を依頼するのが、迅速かつ確実な方法です。簡易な修理であれば、交換部品の調達も可能なため、可及的速やかな対応が期待できると思います。
費用は電話でメーカーに直接ご確認下さい。数千円から1万円程度でしょう。

【メル夫の気づき】

今回の賃借人の学生の相談は、マンション管理の相談というよりは、実務的な迅速な対処法でした。多分、相談できる方が近くにいなかったのでないでしょうか。
私たちマンション管理士は、相談者の話を親身になって聴き、その方に必要なアドバイスを直ちに提案することが必要だということを実感しました。

その後、この学生はすぐに当該エアコンのメーカーサポートに電話し、その翌日にはクリーニング作業を実施してもらったところ、問題なく正常に戻ったそうです。しかも、3か月の無料保証付きだったそうです。
簡単なアドバイスでしたが大変喜んで頂き、こちらもうれしかったです。

One thought to “【新人マンション管理士レポート】新人マンション管理士の相談会体験記(第9回)”

  1.  エアコンメーカーにもよりますが、同様の不具合が多数出るようなら、極端に言えばリコールになりかねません。 大家や近所の電気店でなく、メーカーの方がいい場合もありますが、ダメなメーカーだと管理会社同様に、ほったらかしにされるかもしれません。

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