【マンション管理士ふくろうの実践コラム】築浅マンションの課題と対策

新築分譲マンションでの管理組合活動は一からのスタートという事もあり、どうしても分譲会社が設定した管理体制に乗った管理をせざるを得ないのですが、分譲会社にとっては販売後に設立される管理組合の管理のしやすさよりも、自らの主目的である「販売のしやすさ」を優先する仕組みになっている部分があることは容易に想像できることと思います。

従って、管理組合活動が落ち着いてきた段階で最初に取り組みべき課題は、これら分譲会社が設定した管理項目の内容が、自分たち管理組合にとってどうなのかの確認とその見直しです。

これは分譲会社から与えられた管理体制のまま、ずるずると組合運営を続けてきた多くの管理組合が直面している問題からの教訓でもあります。
もちろんすべての分譲会社が、管理組合自身で見直さなければ安心できないような管理方法を提供しているとは断言できませんが、見直しの結果が問題ない、という事になれば安心してその体制を継続することが出来ます。

__では、具体的に何を見直せばよいのでしょうか。

それは、新築マンションにおいては購入時点で分譲業者によって決められている次の5点です。

  1. 管理規約
  2. 管理会社
  3. 管理費
  4. 長期修繕計画
  5. 修繕積立金

これらの5点については、マンション購入者は重要事項説明等を経て内容を承諾したうえで購入したことになってはいますが、購入時は建物や部屋に意識が集中していますし、専門知識もなく量も多い為に本当に理解している購入者は殆どいないというのが実態ではないかと思われます。

 

 

管理規約

1)「管理規約はマンションの憲法である」という専門家もいるくらい重要なもので、そのマンションのルールを定めたものであり管理組合運営や居住者の生活もこのルールの範囲内で行わなければなりませんし、何らかの問題が生じたときには「規約はどうなっているのか」がその問題の正否を決定づけることになります。

2)内容確認及び見直しのポイント
①管理規約と標準管理規約で異なっている規約部分はどこか。
・追加・削除を含み、異なっている規約部分を比較一覧表にしてを分かりやすく。

②上記の違いはマンション管理にとっては適切か。
・標準管理規約の内容の方が良い訳でもありませんが、その違いが管理組合にとって適切でなければなりません。

③管理規約、使用細則と実態とにギャップはないか。
・ルールと実態とが違う場合はどちらかに一致させる必要があります。

※管理規約の内容を理解し説明できる役員等がいない場合には上記の見直しを含めて第三者の専門家に現管理規約の解説を依頼し規約内容を理解するという事は非常に有用です。

管理会社

1)管理会社の業務は管理組合との間で交わされた管理委託契約書の内容に基づいて実施されますが、これは管理組合が行うべき多くの管理業務の一部を専門業者に委託したという事に過ぎず、その業務を含めて管理業務全体の責任は管理組合が負っています。(管理会社にマンションの管理全般を委託している訳ではありません。)

2)内容確認及び見直しのポイント
①管理委託費用は納得できる範囲か。
・管理委託費用は当然に管理の質に比例しますので、金額のみで単純比較はできませんが金額の相場を確認しておくことも重要です。
・具体としては管理組合として独自に同規模の他管理会社数社に同条件での見積り依頼をして確認します。(他社から本当に魅力ある提案があれば管理会社の変更も一考です。)

②管理委託契約書と標準管理委託契約書で異なっている契約部分はどこか。
・追加・削除を含み契約内容の違いを比較一覧表で分かりやすく。
・この業務は管理会社に依頼してみましょう。

③上記の違いはマンション管理にとって、管理組合にとっては適切か。
・標準管理委託契約書の内容が良い訳でもない。
・管理会社に違いの理由を説明してもらいましょう。

※うまく進められない場合は上記の見直しを含めて第三者の専門家に現管理委託契約書の解説を依頼し委託内容を理解するという事は非常に有用です。

3)かねてより分譲時管理会社に対して指摘されている問題。(分譲会社の系列管理会社、分譲会社から仕事をもらった独立系管理会社)
①分譲会社と管理組合の利益が相反した場合に、管理会社は分譲会社の意向を優先しているのではないか。
・分譲会社と管理組合の利益相反の典型例は、アフターサービス(瑕疵担保責任)に関する費用です。
分譲会社は一般的に(一社)不動産協会が策定した中高層住宅アフターサービス基準に基づき、マンション購入者に対してのアフターサービスを提供していますが、分譲会社にとって販売済みのマンションのアフターはすべてが経費の持ち出しで全く利益にならない為、アフター予算の中で可能な限り少なく乗り切りたいと考えれば、アフターサービス期間が過ぎるまでは不具合個所は表に出したくない、管理会社も協力してほしいと考えても不思議ではありませんし、具体的な指示は出さないまでも阿吽の呼吸で管理会社が忖度していることは過去の実態より非常に信ぴょう性が高いと考えられています。

・アフターサービス期間の例:
植栽1年、建物(室内)設備一般は2年、配管配線は5年、建物の主要構造部・雨水の侵入は10年。

※管理会社の些細な言動を注意し、管理業務を受託している管理組合より分譲会社を意識した管理業務をしているのではないかと感じられる場合は、躊躇せず管理組合の立場に立った専門家からアドバイスを受けることをお勧めします。

管理費

1)管理費の主な用途は下記の通りです。
・管理会社への管理委託料(一般的に管理費の大部分を占めている)
・共用部分の電気・ガス・水道料金
・小修繕・備品購入費
・管理組合運営費(役員報酬含む)等

2)内容の確認及び見直しのポイント
①管理費収入と支出のバランスは適切か。
・区分所有者からの管理費収入で賄えている。
・毎年、多少の余剰が出ている。
・赤字の場合でもを修繕積立金会計等から流用していない。
・駐車場使用料などを管理費会計の収入としない。

②収入と支出のバランスが不適切な場合
・削減可能な支出の検討
・区分所有者からの月額管理費の増額(適切な管理を行うためには適切な管理費用が必要)

※新築マンションの場合管理会社が充分な管理費を設定するため、不足することはほとんどない。

 

長期修繕計画 

1)長期修繕計画の目的
建物を長期にわたって良好に維持・管理していくためには、一定の年数 の経過ごとに計画的に修繕を行っていくことが必要で、コンクリート造りのマンションは適切な管理を行えば100年持つともいわれています。
①将来見込まれる修繕・改修工事の内容、時期、概算費用を明確にする。

②計画修繕工事の実施のために積み立てる修繕積立金の額の根拠を明確にする。

③修繕・改修工事に関する長期修繕計画について、あらかじめ合意(総会決議等)をしておくことで計画修繕工事の円滑な実施を図る。

2)内容の確認と見直しのポイント
①国交省のガイドラインに沿った長期修繕計画書であるか。
・分譲時作成の計画の期間は30年以上となっているか。

②長期修繕計画を一定期間(5~6年)毎に見直しているか。

③見直した長期修繕計画書の内容を総会承認を得ているか。

④次期の事業計画に長期修繕計画書の内容が反映されているか。

修繕積立金

1)マンション管理はどれだけ長期的な視点を持つかでそのマンションの将来の価値が決まるといわれており、修繕積立金は建物を長期にわたって良好に維持・管理していくために必要なとても重要な資金です。
これを安定的に積み立てるためには均等積立方式が推奨されていますが、新築マンションでは分譲会社がマンションを売りやすくするため、購入者の関心の高い毎月の支払額(管理費、修繕積立金等)を低く見せる為、段階増額積立方式としていているのがほとんどです。

①均等積立方式(国も推奨)・・計画期間中、均等に積み立てる方式。

②段階増額積立方式・・当初の積立額を抑え段階的に増額していく方式。

*段階増額積立方式のリスク
・計画通りに増額しようとしても、合意形成ができず修繕積立金が不足する事例が多発しており管理の困難さが増す。(管理不全といわれるマンションのほとんどで修繕積立金の不足が生じています。)
・一定年数が経過すると他の同じ築年数マンションと比べて修繕積立金が高額となる為中古マンションとしての魅力の低下につながる。

2)内容の確認と見直しのポイント
①積立金は長期修繕計画に基づいた月額徴収金額になっているか。

②積立方式は国交省の推奨する均等積立方式としているか。
・段階積立方式の場合は早期に(1回目の増額時期をめど)に均等積立方式への移行を計画しましょう。

③駐車場等の使用料はその管理費用負担後の余剰金は修繕積立金、又は独立会計としているか。
・特に機械式駐車場を有する場合は、その維持及び修繕に多額の費用を要する事から管理費会計に計上することはリスク大。

※現在のマンション業界では高経年マンションの2つの老い(建物設備の老朽化・役員の高齢化)に伴う管理の困難さに対応できないマンションの問題が大きな課題になっていますが、同じ高経年マンションでも管理状況に全く問題もなく、逆にビンテージマンションと呼ばれて高い価値を保っているマンションもたくさんあります。

いかに先々を見据えた管理体制を築くことが大切なのかがよくわかります。

(photo by photoAC)

One thought to “【マンション管理士ふくろうの実践コラム】築浅マンションの課題と対策”

  1.  どの部分をとっても、消費者(区分所有者)にとっては、有利なものはありません。
     購入時の重要事項説明書は、素人に到底理解できるものではありません。 売買契約書も同様です。 原始管理組合総会で提示される原始管理規約も、提案は販売会社ですから、販売時に不利な条項は入っていません。 原始管理規約も役所調のあいまいさを含んでいますが、気が付かれる方は多くありません。 そのまま承認されると、改正は大変です。 分譲戸数が多く、何期にもわたって販売される場合は、原始管理組合総会がお合っていることも考えられます。
     管理組合が管理運営を始めても、専門家はごく少なく、異論は少数ですから、多数決には勝てません。 契約継続時の重要事項説明も、同一条件では、理事長に説明するだけで事足りてしまいます。  理事長が専門的知識者とは限りませんから、区分所有者が圧倒的に不利です。
     このことから、輪番制理事会は良くありません。 所信表明をして立候補制にすべきです。

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