【マンション管理士ふくろうの実践コラム】マンション敷地内の放置自転車対応

管理組合はマンション内に長期間放置されている所有者不明の自転車に対して、どのように対応したらよいのでしょうか。

現在、多くの自治体では放置自転車に対する条例を制定しており、歩道などの公道に放置された自転車等については区役所(市役所等)に連絡しますと、担当者が来て放置自転車に一定期間(二週間程度)経過したら処分する旨の警告書を取り付け、期限後には役所で撤去してくれます。

しかし、各自治体の条例の権限はマンションの敷地(私有地)には及びませんし、他の法律等でも私有地内の放置自転車について明確な規定はないようです。
結局のところ、管理組合が自ら対応しなければなりませんが、一般的には下記の様な流れになりますので参考にしてください。

1、放置自転車についている防犯登録番号(*1)を警察に照会して盗難や事件等に関係していないかの確認を行う。(該当した場合は警察が引き取りに来てくれます。)

2、管理組合でこの放置自転車に2週間~1か月程度の期限を設けて期限後は処分する旨の警告書を取り付け、その状態を写真に撮って保存する(*2)。

3、期限が過ぎた放置自転車は、捨てられて所有者のいない無主物とみなして管理組合の所有物とし(*3)、改めて粗大ごみとして処分する(*4)。

(*1)・・防犯登録番号で所有者が判明しても警察は教えてくれませんし,警察から所有者に連絡してくれることもないようです。

(*2)・・警告書を取り付けたという証明の為です。

(*3)・・民法239条(無主物の帰属)所有者のない動産は、所有の意思を持って占有することによってその所有権を取得する。

(*4)・・粗大ごみとしての処分費用は管理組合負担です。地域により民間の放置自転車回収業者に依頼している組合もあるようです。

実務としてはほとんどの場合、上記1~3の流れ迄で放置自転車対応は終了していますが、万一、処分後に所有者と名乗る方が現れた場合の対応も念のため記載させて頂きます。

4、後日、所有者が現れた場合の対応例

①写真を保管していれば、まず写真の中からどの自転車なのかを特定する。

②その自転車の所有者であることを証明してもらう。(ほとんどがここでアウトになると思われます)
・単に自分が所有者だと言われているだけでは何の証明にもなりません。

③所有者であることが証明された場合
・所有者に配慮して一定の猶予期間を設けた警告書を取り付けたにも関わらず引き取りがなかった事実により*3の法的説明を行い、処分時には当該所有権は組合に移っていた旨を説明する。
・その他・・私有地の不法占拠に伴う損害賠償+処分費用を含む一連の事務管理料との相殺を主張する。
・最終的には訴訟をして頂くよう伝えて対応終了。

従前は放置自転車への対応は「無主物」のほか「遺失物」としての取り扱いも考慮すべきとの考え方がありましたが、遺失物は主に忘れ物や落とし物を対象とし所有者がそれを探している状態を想定しているため、実態としての放置自転車対応としてはそぐわないとする考え方が主流の様です。

(photo by photoAC)

 

One thought to “【マンション管理士ふくろうの実践コラム】マンション敷地内の放置自転車対応”

  1.  当地では、「ちょい借り」という悪い習慣があり、駅前自転車等を勝手に乗り、勝手に放置することがあります。 当マンションぢも、管理会社が放置していたため、「ちょい借り」と思われる盗難自転車がありました。 処理方法は忘れましたが、粗大ごみ収集時に処分したようです。
     今では、自治体の処理方法により、有料で収集してくれます。
     その他、おすすめはしませんが、不要物収集業者(無許可業者?)に収拾させる方法もあります。 おすすめはしませんが(笑)
     自転車の需要は、中国で多く、無許可業者も儲かるので、無料収集するのでしょう。
     法的に正しく収集する方法もありますが、市町村によって違い、真面目に考えて処理しようとすると、手間暇がかかります。
     ここは、自転車を片付けることだけ考え、現実的対応に徹すれば、案外簡単です。
     世間は、決まりで動いておらず、現実的、合理的に動いています。
     ただし「ちょい借り」の事実上窃盗行為は、ダメですよ。(笑)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA


アーカイブ