【マラソンと日本酒をこよなく愛する弁護士のマンション管理コラム】住宅部分の寄宿舎・シェアハウス利用の用法違反、どう対応すればよい? 第2回(全3回)

裁判例

シェアハウスとしての使用が管理規約に定める「専ら住宅としての使用」に該当するかにつき、東京地裁平成27年9月18日判決が判断を示しています。

この裁判例は、マンションの専有部分内に多くの間仕切りを設置して多数の者を居住させていることが、管理規約に違反し、また、区分所有者の共同の利益に反する行為(区分所有法6条1項)に該当するとして、区分所有法57条1項に基づき、上記のような行為の禁止、間仕切りの撤去等を求めた事案です。

裁判所は、「本件マンションの分譲時には、快適な住環境やオートドアロックシステムによる安全性の確保が本件マンションの特徴として強調されており、各専有部分の間取りも、全戸南向きのワンルーム、1DK又は2DKとして設定されていて、その構造からすれば、各戸をそれぞれ単身者又は一つの生活共同体として継続的に同居生活を営む者らが生活の本拠として使用することが想定されていることが明らかであり、本件管理規約12条にいう「住宅」とはそのような使用態様を意味するものであると解される。」と判示し、「本件建物は、玄関、便所、洗面所、浴室及び台所を除く部分が床面積各2畳程度の10区画に区切られた形に改装された上、同時並行的に締結された複数の賃貸借契約に基づき入居した者らが、それぞれ上記区画部分の一つで寝起きし、便所、洗面所、浴室及び台所を他の入居者と共同で使用している状態にある。全く見知らぬ者同士を含む最大10名の者が、多くは窓もない僅か2畳程度のスペースで寝起きするという使用態様は、本件マンションの専有部分の使用態様として想定されているところからはほど遠く、本件管理規約12条にいう「住宅」には当たらないというべきである。」と判示しました。

 

 

この裁判例は、当該事案に限ったいわゆる事例判決の側面も否定できないところですが、この裁判例類似の物件における管理規約上の「住宅」の解釈に当たっては参考になります。かかる「住宅」の解釈を前提とすると、仮に区画数が10区画に満たないような場合、例えば3区画程度であっても、入居者が全く見知らぬ者同士であり、それぞれの区画部分の一つで寝起きし、便所、洗面所、浴室及び台所を他の入居者と共同で使用しているに過ぎないような場合には、一つの共同生活体として継続的に同居生活を営んでいるとはいえず、当該マンションの専有部分の使用態様として想定されている「住宅」には該当しません。
(続く)

 

その1はこちら↓

【マラソンと日本酒をこよなく愛する弁護士のマンション管理コラム】住宅部分の寄宿舎・シェアハウス利用の用法違反、どう対応すればよい? 第1回(全3回)

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