【マンション管理士ふくろうの実践コラム】マンションの鍵預かりへの私案

「鍵を落として部屋に入れない」

「自分がごみ出しに行っている間に息子がカギをかけて出勤してしまった」

「向かいの部屋の一人暮らしの高齢者の様子がおかしい、様子を見てほしい」

などなど、マンションでは鍵に関する問い合わせが後を絶ちません。意外に居住者の多くは管理会社や管理組合で鍵を預かっているはずとと思われている方も多く、預かっていない事を知ると一様にがっかりするようです。結局は鍵屋さんを紹介したり、管理組合に提出頂いている緊急連絡先に連絡して対応することになりますが、高額な費用や相当な時間を要することがほとんどです。

このようなことにすぐに対応できるようにと、かねてから、マンション管理の一環として管理会社や管理組合による各住戸の鍵預かりの必要性について度々話題にされてきましたが、いまだに普及しているとはいえない状況です。

これは、預ける方はその鍵で部屋に立ち入られるのではないかという不安があり、預かる方でも、例えば管理会社では本来業務でない上に、リスクを伴う割には利益にならないという為か、人手不足を理由に敬遠しがちです。
従って、鍵預かりを行なおうとすれば管理組合が主導する必要があるようです。

 

 

特に今後ますます増加する築30年、築40年超の高経年マンションにおける居住者の高齢化問題、なかでも高齢者を含む単身世帯への対応には非常に重要な制度ではないかと思われますので、何とか鍵預かり制度の普及が望まれます。
また、鍵預かり制度を実施する場合に費用をかけることをいとわなければ、直接警備会社と委託契約をすればよいのですが、そう費用もかけられないという管理組合には下記の私案(骨子のみ)を提案させて頂きます。

  • 鍵預かりはまずは希望者のみからスタート。
  • 鍵は居住者が自ら組合指定の封筒に入れ糊付けした後に封印して、封筒を破らないと鍵を出せないようにする。
  • 鍵を保管する金庫は管理の徹底さを示すうえでも、AとBの2種類の鍵がないと開けられない金庫を購入し、鍵Aと鍵B各数本を比較的在宅率の高い理事等の家庭に1本ずつ預かってもらう。
  • 管理室等に申込者からの鍵利用の申し出があったときは「鍵A預かり理事」と「鍵B預かり理事」2名に金庫を開けもらい、封印してある鍵の封筒を渡し、戻すときには新たな封筒に鍵を入れ封印して戻してもらう。
  • 鍵預かりは1年単位として期限が来たら、1年間未開封であった事を確認いただくために、一旦申込者に封印したままの鍵入り封筒を返却し、改めて再度申込みいただく。

多少管理の手間はかかりますが、このような仕組みであれば「勝手に部屋に入られるのではないか」との不安もなくなり、鍵の必要時の対応も可能になりますので、ご自分のマンションの体制に合うようにアレンジした上でぜひチャレンジしてみてください。
(photo by photoAC)

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