共用部分における不法占拠(違法駐車)について 第1回(全3回)


マンションの駐車場に、勝手に、自動車を駐車している区分所有者がいます。これをやめさせることはできますか。また、駐車場使用料相当額を請求することができますか。
違反区分所有者からは、当該駐車場が専有部分である旨や、共用部分であるにしても、専用使用権が設定されている旨の反論がされています。


駐車されている場所が、共用部分又は敷地であり、駐車をしている区分所有者に専用使用権がない場合には、明け渡し請求をすることができます。
また、この場合には、駐車場使用料相当額を損害賠償請求することもできます。
もっとも、仮に、当該駐車場が専有部分であったり、共用部分であったとしても専用使用権が設定されている場合には、上記請求は、認められませんが、専有部分の要件該当性や、専用使用権の設定の有無等の事実認定は、裁判例等に照らし、充分に吟味する必要があります。

【解 説】

1 はじめに
(1)共用部分に関する区分所有法上の規定
区分所有法では、共用部分の使用方法に関して、民法と異なり、「その用法に従って使用」するものと規定されています(法13条)。その理由は、マンション等の区分所有建物に関して、共有持分により使用頻度等に差異を設けることは妥当でないからです。
なお、敷地そのものは、共用部分ではないものの、各区分所有者の共有に属する場合には、共用部分に関する規定が適用されます(法21条、法11条)。

(2)共同利益違反
通常の用法に従わない場合には、共同利益違反(法6条)となります。
共用部分や敷地に、何ら権原なく特定の区分所有者の車が駐車されている場合には、「用法に従った使用」とは言えません。そこで、このような場合には、共同利益違反にあたるとして、駐車されている車両の撤去等を請求することができます。

(photo by photoAC)

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