【ある「元」大手管理会社取締役つぶやき その52】マンション理事長解任「可能」との最高裁判断に思うこと(その2)

理事長の選任手順が管理規約に明記されているにもかかわらず、解任の手順が明記されていない___。(前回のコラムはこちら

元大手管理会社取締役_ブログ

___皆さんのマンションの管理規約、同じような条文がありませんか。

総会決議事項として(国土交通省の標準管理規約通りに)「組合管理部分に関する管理委託契約の締結」とだけ明記されていませんか?

「組合管理部分に関する管理委託契約の締結と契約解除」とまで明記していないと、管理会社から訴えられ、あげくに裁判長から、「総会決議では明文規定がないため、管理委託契約の解除はできません。管理委託契約の期間は○○までとなっていますので、管理組合からの中途解約は、管理会社が同意する必要があります。若しくは管理会社自らが管理を辞退するまで管理委託契約は有効です。」なんて判決が下されるかもしれませんね。こわ~い。

これは契約の解除は「管理組合と管理会社の個別契約事項」につき、「個別に取り交わした契約の取り決めは、管理規約よりも総会決議よりも最優先する。」という(法律家の)常識的な判断をもとに標準管理規約を作成したからに違いありません。
民間の当事者同士が、他人から見れば一見不合理と思える合意(契約)をしたとしてもこれを尊重するのが日本の法律なのです。

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管理会社と管理組合の契約書に「契約の解除は管理組合の総会で特別決議を経て行う。」とか「本契約は如何なる事情によっても管理組合の側から10年間は解除できない。」といったずうずうしい定めを盛り込ませることが出来れば、これはこれで有効です。

(管理委託契約は委任契約だから、委任者、つまり管理組合の側からいつでも解約できるといった見解があることは承知しています。このことについては2017年10月06日にアップした以前のコラム【ある「元」大手管理会社取締役つぶやき その40】10年間の管理委託契約に潜む罠で解説していますので参考にしてください。)

そのため国土交通省も管理委託契約の解約についてまで標準管理規約に盛り込むべきではないと考えたのでしょう。すでにこれらの特別な契約解除条項を有効に締結している管理会社と管理組合の間に、国が定める標準管理規約が整合しないことを理由に、不要な紛争を起こしたくないとの思いです。官僚の事なかれ主義の産物と思います。

 

管理組合の目線でこれを考えると、管理委託契約締結の条件とその解除の条件は管理組合の意思決定上、同列の判断で行うべきであるべきと誰でも納得できます。管理規約では「管理委託契約の締結、解除共に総会の通常決議とする」のが当たり前と考えるべきなのです。
契約の解除を総会の通常決議では応じられないとするような管理委託契約書を持ち込む、ずる賢い管理会社に対しては、「規約違反なのでこのような契約は締結できません」と突っぱねたいものです。

そのためにも、管理規約の管理委託契約の締結と解除を共に総会の通常決議事項とする見直しを検討されてはどうでしょう。

 

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