【ある「元」大手管理会社取締役つぶやき その53】AIコンシェルジュの時代が来る?

元大手管理会社取締役_ブログ

大手IT企業の開発するAIコンシェルジュを体験してきました。

エントランスホールを模したショールームで大型のディスプレイに映し出されたAIコンシェルジュのお姉さんに話しかけると、私の言葉をほぼ正確に認識してくれます。

管理員不足が慢性化する中で、管理員やコンシェルジュに取って代わる管理システムになるかもしれません。少なくとも「有人管理の人員体制を見直して人件費を削減し、これを補完、補強するためにAIコンシェルジュを導入する。」といったことは考えられそうです。

①顔認証システムは瞬時に登録済みの入居者を識別します。玄関に近づいた入居者には自動的に声がけをし、オートロックを開錠したり、エレベーターを一階に呼び出したりなど、なにかとお世話をしてくれます。

「おかえりなさい○○様」
「お荷物をお預かりしていますので、〇番のロッカーの扉を開きます。お受け取り下さい。」
②様々な問い合わせに瞬時に回答してくれます。
想定される質問に対する回答をあらかじめ用意して登録しておくのだそうです。
「マンションでペットを飼う場合のルールを教えてください。」とお願いすればペット使用細則をディスプレイに表示してくれます。
想定されるやりとりは、分譲マンションに共通する事項、居住するマンションに固有の事項、特定の地域生活における有益な情報等様々です。
③想定外の質問の場合は、お客様に気取られることなく自動的にコールセンターに切り替わり、有人対応することができるそうです。そしてこのやり取りを質問回答の事例として蓄積し、次回はAIコンシェルジュで対応可能となるのです。
④複数の言語に苦も無く対応しますから外国人の居住者にも安心です。
多言語対応のコンシェルジュを配置すれば大変なコストですね。
⑤当然ながら時間外手当なしで365日24時間休まず応対してくれます。

技術の進歩でここまでできるようになったのかと感心しきりです。

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見学の最後に、「AIを身近に体感してください。」と、スマートスピーカの「Google Home」をお土産にいただきました。
「OK Google」と声をかけると起動し、相談に乗ってくれます。
家内が何より感動したのは、
「OK Google 15分経ったら教えて。」
というだけでパスタの茹で上がり時間をアラームで知らせてくれることです。タイマーセットの為に料理中に汚れた手を洗う必要もありません。

タイマーや目覚まし時計では「一週間後の朝6時に起こして」なんて無理ですが、「Google Home」は話しかけるだけで対応してくれます。

トルコ人の知人は、私の言葉をトルコ語に翻訳して伝えてくれる「Google Home」に驚いていました。
音声認識の精度が格段に向上したことを肌で感じます。電子辞書の音声変換機能はあるものの入力操作は面倒です、AIスピーカーは話しかけるだけですから、入力操作するより遙かに便利ですね。
今後AIコンシェルジュはどのように普及するのでしょうか。
新築の大型マンションであれば、この程度の設備の導入コストはデベロッパーが負担することも容易と思われます。
エントランスホールでディスプレイのお姉さんに話しかけるのはちょっと恥ずかしいですね。来客時に「OK Google」というのも少々照れます。
でもこのコンシェルジュにスマホやパソコンで話しかけたり、文章を入力して答えてもらったりといった改良は苦も無くできそうです。

最大の課題は想定問答の蓄積とアップデートだと感じました。管理規約や使用細則が変更されれば関連する質問の回答は変更しなくてはなりません。

入居者の質問に、AIコンシェルジュが「申し訳ありませんがお役に立てません。管理会社に直接お問い合わせください。」と答える割合を引き下げるには、たぶん数千件の想定問答を吟味し、入力する必要がありそうです。
設備とソフトは共用部分ですから、これは管理組合の業務となるでしょう。実務は管理会社が行うことになるのでしょうね。機械的な維持費とは別のマンパワーに頼らざるを得ないメンテナンスがありますから、相当のメンテナンス費用が発生しそうです。

あざとい管理会社が、リプレイス防止の一環で、「このメンテナンスは当社が無料でさせていただきます。」なんて言っておきながら、いざ解約となりそうな雲行きになった時には、「AIコンシェルジュの入力データの蓄積は当社の資産ですから、契約解除なら、すべて消去しまいますよ。」と脅されないように注意しないといけませんね。(心配しすぎでしょうか?)

新築マンションで広く採用され、分譲マンション固有の情報や地域別の情報などが標準装備されてくると、手ごろな価格となるでしょう。

そうなれば既存マンションでも管理業務の見直しの一環で、管理員の勤務を削減するとともにAIコンシェルジュの採用が進むかもしれません。
日進月歩を期待しましょう。

 

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