【切っても切れないマンションと保険の話し その9】大規模修繕工事「修繕」「改修」の違いは?

マンションの大規模修繕工事とは何か、その定義をご存じでしょうか?

また、「修繕」と「改修」は違うということは、意外に知られていないかもしれません。そこで、大規模修繕工事について、そして「修繕」と「改修」の違いについて解説します。

大規模修繕工事とは、マンションの経年による劣化などにあわせて実施する、計画的な修繕工事のことです。マンションでは、建物や設備の老朽化による劣化や不具合の発生を防ぐために、管理組合が主体となり、長期修繕計画のもと工事を実施します。

大規模修繕工事では、「修繕」に加えて「改修」も行うことがあります。この「修繕」と「改修」は一体何が違うのでしょうか。

 

 

「修繕」のキーワードは「回復」です。

経年や何らかの外的要因によって劣化、不具合が発生した建物、設備などに対して、修理や取り替えなどの処置を行って、性能や機能を支障なく利用できる状態まで回復させることが修繕です。回復とは応急処置的なものではなく、建物の建設当初の水準まで戻すことが目標です。

一方で、「改修」のキーワードは「改善」です。

マンションに求められる性能や機能は、その住まい方や、設備機器開発の進歩等により年々高まっています。高経年マンションでは、この性能や機能が最近の新築マンションと比べ陳腐化して、資産価値の低下にもなりかねません。そこで、高経年マンションの建物品質や資産価値を維持向上させるためには、「修繕」による性能の回復に加えて、マンションの性能をグレードアップさせることがとても重要です。

なお、一般的に、性能・機能をグレードアップさせる工事を「改良」(グレードアップ)といい、「修繕」及び「改良」により建物全体の性能を「改善」する工事を「改修」といいます。

大規模修繕工事に改修工事を織り込んでいくことは、さまざまなメリットがあります。

居住者にとって最も大きなポイントは、日々の暮らしが快適になることです。例えば、各住戸においては、給排水システムが古い、電気容量不足といった問題を解決できます。建物の共用部分や全体の性能としては、バリアフリーやセキュリティー、耐震性などの不備を解消し、安全性を向上させること。さらに宅配ロッカー、インターネット環境、エレベーターといった設備の改善により、利便性や住み心地が向上します。

共用部扱いとなる各住戸の玄関や窓サッシの交換は省エネ工事として、国の補助金制度を利用できる可能性があります。

この他外装(外壁・外階段・手すり・エントランス内外)や内装(共用施設内など)などのリニューアルにより、見た目のマンショングレードを向上させ、住戸売却時に購入者に好印象を与えることも可能です。

マンションに必須とされる大規模修繕工事ですが、「修繕」だけを行うのでは万全とは言えません。より暮らしやすく、価値のある居住環境を整備していくには、時代の変化に合わせた改修工事を大規模修繕工事に織り込んでいくことが必要です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA


アーカイブ