【切っても切れないマンションと保険の話し その15】マンション「共用部分」「専有部分」間違えていませんか

マンションの「共用部分」と「専有部分」を間違えて理解している住民が多く、トラブルとなるケースが増えています。今回は、意外と知らない「共用部分」と「専有部分」の違いについてお伝えします。

この2つをお伝えする前に「区分所有」についてお話しします。区分所有とは分譲マンションをはじめ、建物内部が独立した住居など数個の部分に区分されている場合に、区分された各部分を所有することを言います。「建物の区分所有等に関する法律」(区分所有法、マンション法などと呼ばれます)には、建物の「区分所有」について、「一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律で定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる」(第1条)と記載されています。

また、区分所有権(建物の区分された部分に対する所有権)を有する者を「区分所有者」と言います。「区分所有者」とは、住居など(各室)のオーナーのことで、賃借人など区分所有者以外の居住者のことは占有者と呼びます。

 

 

「共用部分」とは
「共用部分」とは、原則として区分所有者全員が共有する部分のことです。区分所有法においては、一棟の建物には「共用部分」と「専有部分」しかありません。よって、建物のうち「専有部分」に属さない部分、付属物は全て「共用部分」となります。

また、「共用部分」は次の2つに分けることができます。区分所有法で定められる共用部分を「法定共用部分」と呼び、マンションの規約により「共用部分」とされる建物の部分及び附属の建物を「規約共用部分」と呼びます。

エントランスから各戸へ通じる共用廊下や通路などは法定共用部分の代表的なもので、規約共用部分は倉庫や会議室が例として挙げられるでしょう。

「専有部分」とは
「専有部分」とは、区分所有権の目的(対象)である建物の部分のことを言います。分譲マンション(店舗、事務所又は倉庫その他がない、住居のみのマンション)の場合でいえば、居住するための各室のことです。

 

 

「専有部分」と「共用部分」の区分については、さまざまな見方があります。例えば、専有面積の計算方法には「壁芯」と「内法」の2種類がありますが、どちらの方法を採用するかによって、壁などを「専有部分」の一部に含むか、「共用部分」に含むかが異なってきます。そのため、「専有部分」の定義はマンションの規約できちんと定めることが大切です。

「共用部分」と「専有部分」の違いで間違えやすいのが、バルコニー、玄関ドア、窓サッシなどです。これらは通常「専有部分」ではなく「共用部分」です。
ただし、配管や配線については設置目的、設置場所などの諸条件によって解釈が異なることがあります。国土交通省の「マンション標準規約(単棟型)」(標準管理規約別表第2「共用部分の範囲」)では、給水管については本管から各住戸メーターを含む部分が「共用部分」、雑排水管及び汚水管については配管継手及び立て管が「共用部分」とされており、これが目安となります。

以上のようにマンションでは「共用部分」と「専有部分」を区分けする基準がありますが、マンションによって不明確なケースもあり、トラブルを招く危険性があります。次にトラブル事例を少し紹介して、今秋のコラムを終了します。

【トラブル事例】
・バルコニーに移動が困難な物置を設置して、火災時に隣り住戸へ避難する「隔て板」をふさいでいる。
・バルコニーに、植木やプランターをたくさん置いて、大規模修繕工事の際に、植木やプランターの移動指示を拒否して、バルコニー修繕ができなかった。
・リフォームで、玄関ドアや窓サッシを区分所有者が勝手に交換工事をしてしまった。
・エアコン設置工事を電気屋に依頼したところ、バルコニー側の壁に穴を開けてしまった。
・キッチンの排水管にいろんなゴミを流してしまい、配管を詰まらせてしまった。

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