【切っても切れないマンションと保険の話し】マンションの長寿命化を考える

マンション寿命の長期化

主要都市のマンションは、1960年代の第一次マンションブームに建築されたものが、現在、築60年を迎えています。

鉄筋コンクリート造が基本で、建物の耐用年数は税務上47年、実務上60~70年とされてきました。でも、実際に耐用年数が来たからといって建て替えられたマンションはとても少ないのが現実です。耐用年数が想定より長いということもありますが、「マンションの建て替えの難しさ」が大きな理由です。

資金面の問題、居住者の高齢化、区分所有者の合意形成の難しさ等、様々な要因からなかなか実現できないのです。

築50、60年のマンションの多くは、大規模修繕工事や設備工事を繰り返しながら長寿命化していますが、最近では、耐用年数について、こんな意見も増えてきました。

「鉄筋コンクリート造のコンクリート内にある鉄筋の錆対策をすれば(コンクリート表面のひび割れ補修や、雨水の浸入を防ぐなど)、100年はもつんじゃないか」

なんとも頼もしい意見ですね。

「環境問題」や「空き家問題」を考えれば、築50、60年程度のマンションをスクラップ&ビルドで建て替え促進することは、時代の流れに逆流しているとも言えます。(老朽化が激しく、建て替えせざるを得ない場合は異なります。)

これらを踏まえると、住宅業界は右肩上がりの経済成長から脱却してはどうでしょうか。人口減少で、経済規模も縮小するのですから、「経済成長」→「そこそこの経済維持」に転換しては。

今ある中古マンションストックをマンション修繕業界として適正に維持保全し、長寿命化を進めることが望ましいのではないでしょうか。

外壁の塗装の塗り替えから始まった大規模修繕工事は、躯体の補修や防水工事などが普及し、コンクリート躯体を長持ちさせる効果ももたらしています。新築マンションを増やすことよりも、築後100年を超えても、安心・快適に暮らせるマンションを目指していくことがとても大切なことだと思います。

 

100年マンションの課題

一方で、築40年を超えるマンションでは、給水管や排水管の更新(交換)は適切に実施しきれていない状況があります。さらに、旧耐震基準(1981年5月31日以前の建築確認に適用された耐震基準)のマンションの多くは、耐震診断や耐震補強がされないまま現在に至っています。

100年マンションを目指すにも、①給排水管の更新工事、②耐震診断と適切な補強工事は必須と言えます。

この2点が進まない理由は、建て替えできない理由と似ています。

資金面の問題、居住者の高齢化、これらにより区分所有者の合意形成の難しさ等です。

これらの問題を解決しなければ、いずれ給排水管の老朽化が進み、水漏れ、つまり、破損などにより、日常生活に支障をきたします。また、耐震性能を適正にしていないと、巨大地震が発生した場合に、建物及び居住者が甚大な被害を受けることになってしまいます。

※平成に入ってから新築された、築30年程度のマンションでは、給排水管のメンテナンスは適正に行われており、耐震性能もほぼ問題ないと言われてますので、引き続き、適正な維持メンテナンスを続けて行けば、長寿命化は実現可能ではないでしょうか。

昭和、平成と続き、令和の時代。マンションの大規模修繕工事は新たなステージを迎えたと言えます。マンションに住む皆さん、管理組合役員の皆さんは、今一度、安心・安全なマンション生活を最優先に考えた管理運営を進めて行きましょう!

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