【切っても切れないマンションと保険の話し】マンションの計画修繕の考え方

長期修繕計画の考え方

マンションの計画修繕は「長期修繕計画」をベースに実施する工事のことを意味しています。管理組合は、この計画修繕の主体となって進める大きな役割を担います。

ここで、アドバイスがあります。

新築時にマンションデベロッパーや管理会社から提示された長期修繕計画があります。その長期修繕計画に、①計画された時期、②計画された工事、③計画された金額が表記されていますが、その通りに実施しなければならない、というものではありません。

長期修繕計画とは、マンション管理組合が計画的に修繕積立金を区分所有者から集めて貯えておく根拠となるものです。このくらいの時期にこのくらいの修繕工事を行っておく必要がありそうなので、このくらいの金額を管理組合として積み立てておきたいと考えるためのものです。参考資料くらいに考えておいてください。

長期修繕計画のガイドライン(個人的には、漏れのないように作られた「修繕内容のフルコース」と思っています)は、国交省が作成しました。

そのガイドラインをもとに、入居前のマンションの新築分譲時に「修繕計画のスタート時のたたき台」としてマンションデベロッパーや管理会社によって作られ、管理組合が引き継いでいくものですが、「修繕内容のフルコース」的な参考資料ですから、できるだけ早くマンション独自の長期修繕計画に作り替えてほしいと考えます。

何度も言いますが、作り替えるのは、管理組合が主体となってです!

実際の修繕工事(特に1回目の修繕工事)は、フルコース仕様で実施する必要が無いケースが多いと思います。きちんと新築時の施工ができていれば、まだまだ劣化は進んでいませんから。

それぞれのマンションが、独自の劣化状況に応じて修繕の可否判断をしながら必要な修繕を行なえば良いのです。(ただし、外壁など仮設足場の設置が必要な場合はありますので、1~3年先でも良い不具合でも足場が必要なものは今回の修繕に盛り込むことも比較検討してください)

実際には、修繕計画より早く屋上防水に不具合が発生して早めに修繕しなければならないとか、不具合がまったくなく計画より修繕を遅らせるなど様々なケースがあるのが実態です。そのため、いかに適宜建物点検や検査を実施して不具合や劣化状況を把握し、自分たちの修繕計画にカスタマイズして適正な修繕を行うかにかかっています。

このカスタマイズされた長期修繕計画によって、区分所有者が積み立てる修繕積立金の金額も増減が出てきます。これは、管理組合内でしっかり説明をして理解を得て進めてください。

 

 

長期修繕計画を立てる場合の注意点

これらを管理組合が主体とならずに委託している管理会社などに丸投げすると、知らないうちに管理組合のお金は減っていってしまう危険性があります。

一部企業が「大きな金額が動く大規模修繕工事で利益を得よう」として、実際には不要な修繕工事を高額な工事費で実施する計画の提案を管理組合にして、管理組合は上手く丸めこまれてしまう、ということがあります。

それら無駄な出費を防ぐ方法として

  • セカンドオピニオンを管理組合側につけて、日々のメンテナンスや計画修繕を進めて行く
  • 管理組合が常に見積比較を行い、適正金額や適正工事の確認を行う
  • 管理会社に委託する定期点検のやり方が適正かセカンドオピニオンに確認のうえ実施させ、結果も検証する
  • 5年くらいの周期で、管理会社以外の設計事務所(管理会社と関係ない・不適切コンサルでない設計事務所を、管理組合独自で選定すること)に建物診断を実施してもらい、劣化状況を把握して今後の修繕計画を検討していく

があげられます。

身体の健康診断・人間ドッグのようなものと考えてください。検査もしないで治療や手術を行う人はいないはずです。まず検査をして、身体に異常がある場合は必要な治療や手術を行う。それと同じです。

最後に、修繕の実施において何を優先すべきかを管理組合で考えておきましょう。

一番は「安全」です。タイルの落下、事故、ケガ、漏水など人体や生活に支障がでる重大な事項は最優先して修繕してください。その他、美観や軽微な不具合、最新設備にしたい、バリアフリー化などは、是非管理組合の中で意見を出し合って話し合ってみてください。

そのような活動を通じて、自分たちがどのようなマンション生活を送りたいかが決まり、それに合わせた修繕や改良となっていくものであって、管理会社や業界関係者から押し付けられて行うものではありません。

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