ふとマンションの天井をみると、天井のクロスにシミができています。シミはどんどん大きくなり、水が垂れてきました。上の階からの漏水で、マンションに住んでいるかぎり、誰にでも起こりうる事態です。さあ、どうすればよいでしょうか____。
上階から水が垂れてくるのを発見したら、すぐに管理会社に連絡しましょう。連絡先が分からなければ、管理人室に向かいます。管理人さんがいたら、管理人さんから管理会社に連絡してもらっても構いません。また管理人室の窓には、トラブルの際の連絡先が貼ってあることもありますので、それを見て連絡しましょう。漏水事故は早期に対応した方が、被害が少なくて済むのでなるべく早く連絡します。
深夜や早朝でも緊急の連絡先があるので、時間帯は問いません。とにかく早めに連絡することが重要です。
連絡する時には、次のことを落ち着いて伝えましょう。
- マンション名と部屋番号
- 自分の名前と電話番号
- どの部屋で漏水が起こっているか
- 漏水に気がついた時刻
- シミが見えるだけなのか、ポタポタ水が垂れてきているのか
これらのことを正確に伝えることで、その後の処理がスムーズになります。焦って電話しても必要な情報が足りないと、業者も動きにくいものです。「早く来て」とだけ言って電話を切ってしまう人もいましたが、マンション名が分からなければ行くこともできません。落ち着いて、これらの事を確実に伝えるようにしましょう。
大抵の場合、マンションは縦列が同じ間取りです。201号室と301号室は同じ間取りの場合が多いのです。そこで水が垂れているのが洗面所なのか、キッチンなのか、リビングなのかで、上階の部屋のどこで漏れているか検討がつきます。
多くの場合、洗面所で漏水事故が起こったら、上階の洗面所で水漏れが起こっているのです。ただし上階と間取りが違う場合もあるので、自分の部屋の洗面所の天井から漏れているからといって、上の階の洗面所で漏水が起こっていると決めつけるのは危険です。しかしながら、どの部屋から漏れているかを予め伝えておくことで、ある程度の予想ができるので対応がしやすくなります。
マンション内には水道の蛇口につながっている給水管と、汚水を流す排水管が通っています。どちらの水が垂れてきているのかわからないので、水にはなるべく触れないようにしましょう。特に小さなお子さんがいる家庭は注意してください。そしてポタポタ垂れている場合は、バケツを置くなどして周囲に水が跳ねないようにしましょう。
実は給水管から漏れているか排水管から漏れているかは、臭いや色で判ることがあります。透明で無臭なら給水管の水で、濁っていて臭ければ排水管の水です。しかしコンクリートを通して垂れてきた水は色がほとんど透明に見える場合もありますし、臭いもわかりにくくなっていることがあります。排水管の水には雑菌が大量に潜んでいるので、体内に入ると体調を崩す可能性があります。そのため垂れてきた水には、極力触れないようにした方が良いと言えるでしょう。
では、上の階の人に伝えに行くか、ですが、全く面識のない人なら、行くのは止めておいた方が無難です。突然、水が垂れていると言われた方は、嫌がらせを受けていると思う場合もあります。トラブルにもなりかねませんので、知らせるのは管理会社の人に任せておいた方が良いでしょう。しかし顔見知りで親しい関係ならば、時間帯にもよりますが声をかけるのはありだとは思います。基本的には、よほど仲がよくないかぎり管理会社の方に任せましょう。
宅地建物取引士。中堅ゼネコン勤務を経て大手マンションデベロッパーで品質管理、アフターサービス部門を15年間勤務。その経験を元にマンションで起こるさまざまな問題を解決したく、建築系の知識経験に加えマンション管理経験を蓄えるべく株式会社メルすみごこち事務所へ参画。自身でもコラムサイト『マンションに住む人のためのブログ』を運営し、ポッドキャスト配信にも意欲的に取り組んでいる。