【ある「元」大手管理会社取締役つぶやき その123】第三者管理者方式のガイドライン整備の動向

最近まで管理会社が管理者の責務を負うことは企業のリスクの増大につながると、導入に慎重であった大手デベロッパー系管理会社も、近年積極的に第三者管理者方式の導入に踏み出しています。その動機は、実居住者の割合の低下や、高齢化による理事のなり手不足といった管理組合側からのニーズの増大というよりも、管理会社の都合によるものではと思われます。人件費の高騰、フロントマンの採用困難に直面し、収益率の低下が顕著な管理業界としては、「管理会社による第三者管理方式=理事会に出席する必要のない管理方式=フロントマンの効率化による収益性の向上」であると皆気付き始めているということではないでしょうか。

令和6年2月5日付けマンションタイムズで以下の報道がありました。
国土交通省では「外部専門家の活用の在り方に関するワーキンググループ」(WG)の第4回会合が1月末に開催され、管理会社が管理者を務める第三者管理方式に対応して改訂する「外部専門家の活用ガイドライン」の記載について議論した。委員からは第三者管理方式のメリット・デメリットに関する記載や、管理組合員が集会を招集する際の方法などについて意見が寄せられたほか、国交省はパブリックコメントで約600件に上る意見が提出されたことを報告した。これらを踏まえて3月末開催の次回WGで取りまとめる。

小生も区分所有法やマンション管理適正化法では捕捉しきれていない本件課題の解決に向けてガイドラインが整備されることを期待しています。

私も国交省が公募したパブリックコメントで以下の意見を提出しています。

管理会社が管理者を務める管理形態の検討課題

第三者管理者管理を推進する管理会社各社が、管理組合運営を管理会社に委ねるメリットのみを強調することに、業者の思惑が透けて見える。デメリットの治癒に腐心し、対応に悩む姿が管理会社各社から伝わってこないということは、デメリットは秘匿して第三者管理者管理のメリットを享受したいということか。解決すべき課題は多い。
(マンション管理士その他の士業が管理者を務める場合も同様の課題があると思料する。)

1.管理者の信任に関する法的規制がない

総会又は規約で管理者に選任された場合は組合員による総会直接請求による新たな総会決議、規約の変更がなされない限り管理者を継続できる。
外部管理者総会監督型規約においては文字通り管理者を監督すべく、「毎年の通常総会で、管理者の信任を普通決議で行わなければならない。」などの法規制が望まれる。

組合員が管理者の解任を議題として総会を招集する場合、区分所有法の定める要件以外の付帯条件(総会開催同意において実印押印、印鑑証明提示など)を付加する管理規約及び管理委託契約を無効とし、更には区分所有法の要件(5分の1の組合員の同意)を「緩和することができる規定」から、具体的に緩和する(例えば「10分の1の組合員の同意」、「3名以上の同意」等)法整備が望まれる。

管理者を解任し理事会を構成するのか、あらたな管理者を選任するのか、これらの選択を含めた総会開催が必要であり、移行措置についての検討も必要となる。予め管理組合としての手順を規約等で予定しておく必要がある。

2.管理会社の利益相反行為の禁止に有効な手立てがない

物品の購入、修繕工事等の発注が適正に査定されることなく管理会社又はその関連企業若しくは管理会社にリベートをもたらす取引先に発注される懸念について、有効な解決策を示す管理会社はいない。

  1. 管理会社が管理者として行った利益相反行為に関して管理業者を国が処分できるようマンション管理適正化法を改定する。
  2. 管理会社が管理者として行った利益相反行為に関して、相応の違約金の支払い義務とこれを理由としての契約解除を、重要事項説明事項とするようマンション管理適正化法を改定する。
  3. 管理業務以外の備品の調達整備、修繕工事等、管理組合を代行しての発注行為に関し、管理業務委託費とは別に一定の調達・選定経費を管理会社に支払う事を管理業務委託契約に盛り込む。この場合、見積り徴収や発注先選定の手順、組合員へのディスクロージャーについての取り決めを明確にする。
    利益相反行為に対して厳格に対処する反面、備品の調達整備、修繕工事等に伴い発生する事務管理費用の支払いを支払う事とする。

3.組合の全資産を管理会社が管理することへの信用付与

  1. マンション管理会社が管理者となる場合の財産的基礎を、マンション管理業者の必要要件である「300万円以上」から大幅に引き上げるよう、マンション管理適正化法を改正する。
  2. マンション管理会社が管理者となる場合は、管理費等保証制度に代わる保証制度を創設する。本方式を採用する各社が連帯して相互保証するなどが望まれる。
    過渡的には管理会社役員全員の連帯保証、管理会社の親会社など第三者の連帯保証を管理委託契約上義務付ける。
  3. 理事会を置かないマンションにおいては、マンション管理会社の管理者業務から、組合資産の保管運用を除外し、組合運営に特化した運営担当管理者とする。運営担当管理者とは別に組合資産管理を担当する資産管理担当管理者を別途選任する。組合資産管理者としては十分な財産的な基礎を有する金融機関、証券会社などが期待されるが、本業務に関する法整備が望まれる。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA


アーカイブ