防災については、居住者一人ひとりが日頃から意識しておくことが大切です。また、マンションにおいては、居住者だけでなく、マンションの管理組合にも、居住者を守るために万全の備えをしておくという役割が課せられています。
緊急用居住者名簿の作成
緊急用に居住者名簿を作成することは、災害時に居住者の安否確認をしたり救助するのに、とても重要になります。どの住戸にどんな居住者がいるのかを、管理組合が把握していることは、マンションの災害対応を円滑に進めることにとても役立ちます。
- 管理組合が、居住者の安否確認や避難誘導連絡を行う際に、居住者の自宅電話や携帯電話番号がわかると、迅速かつ確実な確認・連絡ができる
- 居住者が被災して、自ら救助を求められない時に、管理組合が居住者の被災状況を早く把握することができて、救助対応を的確に行うことができる
- 子供や高齢者、身体が不自由な人などが把握できていると、その人たちから優先して、救助・避難させることができる
災害時だけでなく、日常生活の中で、急に体調が悪くなった高齢者の状況把握や救助対応を、管理組合がサポートすることができるなど、「共助」のためにメリットがあります。
また、日頃の「管理組合と居住者の円滑なコミュニティ形成」にも役立つため、管理組合は名簿の作成と「定期的なメンテナンス」をすることをお薦めします。
※個人情報保護法により、管理組合は情報管理を厳正に行ってください。また、そういった中で、居住者情報の提出を拒む居住者がいるかもしれません。その場合は、上記のメリットを理解してもらったり、日頃からの信頼関係づくりにより、少しでも多くの居住者情報を集めておくことが大切です。
防災用具・備蓄品の準備
防災用具と備蓄品は、管理組合として何が必要かを考えて用意してください。そろえるものはマンションの立地、建物の規模、高層かどうかという建物の高さ、建物の構造、保管スペースの有無などによって異なります。一般的には次のものが考えられます。
- 情報伝達・収集のための拡声器、トランシーバー、ラジオ
- 停電対策用の自家発電機、投光器、ヘッドライト、懐中電灯、石油ストーブなどの暖房器具
- 救助・救出、復旧作業に使用する担架、スコップ、運搬用一輪車、工具類
- 危険防止表示に使用するカラーコーン、ロープ、ハザードテープ
- 避難生活用のテント、簡易トイレ、ビニールシート、毛布、ごみ袋
- 備蓄品としての水、食料
マンションは、「個としての区分所有者」が集まって円滑に生活をするために、「管理組合という組織」を構成します。「共助」としての管理組合の防災対策をお話ししましたが、管理組合の防災対策だけでは、十分な対策にはなりません。そこで、「自助」として各区分所有者それぞれによる防災対策が必要です。
管理組合は、「共助」としての防災対策を進めるだけでなく、各区分所有者が自身で防災用具や備蓄品を準備しておくように、管理組合から区分所有者に対し促してください。
区分所有者を対象に、管理組合の防災対策の講習会を開催し、その際に合わせて区分所有者自身が行う防災対策についても講習会を行うなど、できるだけお互いに防災意識を高めるようにしていきましょう。
日頃から、ゆるーいコミュニケ―ション
「防災」というテーマだけを、居住者に協力を求めても、参加者は集まりづらいものです。管理組合は日頃から、様々なテーマの提供、挨拶、伝達を行い、「ゆるーく」でも良いので、コミュニケーションをとることで、お互いの心の障壁が低くなり、いざというときに連携しやすくなるものです。