あるマンション管理組合の理事長の訴え
ある管理組合の理事長から質問を受けました。
「管理組合役員をしています。土日に管理組合活動をしていますが、時間が無い時は平日の夜遅くまで活動をしなければなりません。ここまでしているのですから、たくさんとは言いませんから、役員手当のようなお金をいただくことはできないのでしょうか。家族サービスの時間も減って、何のためにやっているのかわからなくなっています。」
一般的に、マンションに住んでいる人の多くは役員ではなく、マンションの管理運営は役員まかせ、管理会社まかせの状況です。
管理会社は管理組合から管理委託契約をもとに管理委託費を受領して業務としています。一方で管理組合役員は、というと、無償で活動しているケースがかなりあります。
マンション管理組合における役員報酬の実態
そもそも、マンション管理組合が役員報酬を支払っているマンションは、世間一般ではどの程度あるのでしょうか_。
国土交通省が公表している「マンション標準管理規約」には、「役員は別に定めるところにより、役員としての活動に応ずる必要経費の支払と報酬を受けとることができる」とあります。管理組合が役員へ報酬を支払うことは何の問題もなく、公に認められているということです。
その実態については、同じく国土交通省の「マンション総合調査結果」にデータが記載されています。それによれば、2,322のマンション管理組合のうち、478(20.6%)の管理組合が役員に、29(1.2%)の管理組合が理事長のみに役員報酬を支払っています。
これらからわかるのは、多数派とはいえないものの、実際に役員報酬を支払う管理組合は少なからずあるということです。
また、同じ調査で、「報酬は支払っていない」という管理組合の割合は、マンションの完成年次が新しくなるほど高く、総戸数規模が大きくなるほど低くなる傾向にあることも見えてきました。
役員報酬をもらえるケース
役員報酬は、理事などの役員になれば自動的にもらえるという場合と、理事長になったときのみにもらえるという場合があります。報酬額も、役員に一律の額を支払われる場合と、そうでない場合があります。
- 「マンション総合調査結果」によると、各役員一律の場合の報酬平均額は2,600円/月・人
- 役員報酬が役員一律でない場合の報酬平均額は理事長が9,200円/月・人、理事が4,400/月・人、監事が4,100円/月・人
なお、そもそも役員報酬を設定するかどうか、その額をいくらにするかなどは、管理組合の総会で決定します。
考えられる手順としては、まず総会の決議に基づいて、「役員報酬規程」というものを制定し、管理規約に記載します。その上で金額と支払い方法について、定期総会などで管理組合の了承を得る決議を行います。
あるいは、支払い額と支払い方法を決めてしまって、管理規約で明示する方法もあるでしょう。いずれにしろ、予算が余っているからその中から今月はいくら役員報酬を支払う・・・といった支払い方はできないので注意してください。