空き家問題①(増え続ける空き家)のコラムはこちらです。
空き家はなぜ問題なのか
家や建物は、人が住まなくなったり、利用をしなくなり維持管理がされなくなると、あっという間に傷むのが早まります。維持管理がされなくなった空き家の問題には、次のようなものがあります。
- 屋根や外壁が剥がれたり柱が腐ってしまう等、建物倒壊の危険性があるり、近隣の敷地や建物に被害を与える可能性がある。
- 無人の建物は、火災(放火含む)の危険性や浮浪者が住みつく、ゴミ捨て場になるなど無法地帯化のリスクがあり、周辺住民に不安や迷惑をかけたり住宅環境の悪化を招く。
- 敷地内の植栽の剪定をしないと、枝や落ち葉などが敷地の外(隣地境界線)へ越境してしまう。虫などの様々な生物が繁殖し、場合によっては蜂の巣ができて、近隣住民を危険にさらすリスクがある。
さらには戸建だけでなく、マンションの一室の場合も次のような問題があります。
- 郵便受けに入れられた新聞や郵便物、チラシがいっぱいになり、床にチラシが散乱したり、郵便受けコーナーの美観を大きく損ねる。
- ガムテープなどで郵便受けの入り口をふさぐケースがあるが、見るからに空き家ですとPRすることになり、空き家があるマンションというイメージが資産価値を下げる要因となりうる。
- 玄関周辺やベランダ周辺の汚れや未整備で、美観が損なわれるリスクがある。
- 給排水管を長期間使用しないと虫がわいたり悪臭を発つ可能性があり、ひいては専有部配管の管理がされなくなることで、その他の住戸や共用配管へ与える影響も考えられる。
- 使用していた自転車や車が駐輪場や駐車場に放置されたままとなった場合、所有者に連絡がつかない等の理由で管理組合が困ってしまう。同様に管理費などが支払われなくなる問題もある。
このように、空き家の問題とは、空き家の所有者ではなく、近隣住民や地域、マンションと第三者に迷惑をかける可能性があるということなのです。
今後、超高齢化社会を迎えるにあたり、国も対策に動き出しました。
国の空き家対策=空家等対策特別措置法、空き家条例などルール化が進んでいる
まずは、国会で決まったルールや、地域条例により、適正に空き家対策が行われる可能性に期待したいところですが、全国で空き家が増加している中で、国会では平成26年に「空家等対策特別措置法」が制定されました。具体的な内容は次の通りです。
- 空き家の調査
- 空き家の所有者へ適切な管理の指導
- 適切に管理されていない空き家を「特定空家」に指定できる
- 「特定空家」に対して、助言・指導・勧告・命令ができる(空き家の所有者は、今まで受けていた固定資産税の優遇措置が無くなり、約6倍の固定資産税の負担増となる)
- 「特定空家」に対して、罰金、行政代執行ができる(行政が空き家の所有者に代わって建物の解体を行い、その費用を所有者へ請求することができる)→
このような内容ができたため、空き家の所有者は、行政からの様々なアプローチに対して、何かしらアクションを起こさざるを得ない状況ができてきました。
空き家条例
埼玉県所沢市で初めて制定された「空き家条例」。その後、全国で次々と空き家条例が制定されました。全国の市町村区で制定されている空き家条例の内容は、各々確認が必要です。以下のNPO法人空家・空地管理センターのホームページから確認下さい。※その他、この団体では空き家の管理や各種相談を受け付けています。(基本的には戸建住宅が対象)
NPO法人空家・空地管理センター
https://www.akiya-akichi.or.jp/
しかし、ルール化といっても、全ての空き家対策ができるというわけではありません。まだまだ上記の特定空家に指定された件数や行政代執行された件数は少ない状況です。地域住民の手でなんとかするといっても空き家ですから、人はその家におらず、また登記簿謄本も相続登記をしていないケースが多いため、誰が所有者か調べるのが難しいです。
もし相続人と連絡がつけば、上記の団体やリフォームや解体費の補助金制度を教えてあげることで相続人も行動しやすくなるでしょう。本来は、日頃から、高齢者が近所に住んでいる場合は、一定の関係構築を行っておくことが良いのでしょう。子供や親族のことも聞いておけば、万が一の場合に連絡が取ることもできます。理想論ですが…。