定着するマンション暮らし
マンションという居住スタイルが、都市部に定着して数十年が経過します。
国土交通省によると、2019年の分譲マンションストック戸数は約665万戸、居住人口は約1551万人となります。
都市部では、戸建てやアパート、マンションなどの居住スタイルのうちマンションは20~30%を占めており、世帯数に対するマンション戸数の割合も上昇しています。
東京の千代田区では83%、中央区では81%、港区では75%がマンション暮らしというとても非常に高い比率となっています。
一方で、これらマンションのうち、①設備の老朽化が始まる築20年以上のマンションが約351万戸②1981年以前の旧耐震基準で構造計算された(耐震性能が低いとされるマンション)マンションが約106万戸も存在しています。これらのマンションにおける適切な修繕対策は、国の住宅施策のなかでも重点が置かれています。
人口減少問題
高経年マンションの課題と平行して、人口減少の課題もあります。
日本の人口は、2010年の1億2805万人から減少が続きいています。世帯数も地方圏では、すでに減少に転じています。しかしながら、都市型の居住形態ともいえるマンションは、これからも中古住宅として増え続けるものと考えられています。
つまり戸建住宅やアパートなどの居住形態は減少し、そこからマンションへ転居する人口・世帯数が一定数あるという考えです。
戸建てなどの木造住宅に住む人口・世帯数は減少し、鉄筋コンクリート造のマンションに住む人口・世帯数は一定数の増加が見込めるということが言えるのかもしれません。(地方においても、マンショの立地が利便性の良い市街地であることも大きな要因と言えるでしょう)
個々の住居が上下左右に積層されたマンションは、建築物としては効率的で居住者も利便性を享受しやすいと言われています。一方で、共同して生活、管理、運営を行って行く難しさを抱えているのです。建物の維持管理とは別にコミュニティーの課題を抱えているといえます。
資産価値の考え方
すでに中古マンションの流通市場では、都市部のタワー型マンションなどと郊外の団地型マンションでは、価格の格差が生じています。しかし、単純に売買価格の高い安いの評価で資産価値を語るのは、違うのではないでしょうか。
東京都心と郊外、さらに地方では、土地の価格が大きく違います。これはマンションという建物やコミュニティーの評価ではありません。
私たちが求めていく、マンションの資産価値の維持・向上とは、「それぞれの建物&生活の魅力化」と考えます。
- 安全が確保されて安心して暮らせる
- うっすらと人のぬくもりやつながりを感じることができる、自助・共助の関係
- そのマンションや地域に、なんらかの魅力があって気に入っている
今は小さな魅力かもしれないけど、それをみんなで大きく育てて行けばよいのではないでしょうか!大規模修繕工事だけではなく、こういったことも平行して進めていきましょう。