マンションの経年劣化の考え方は、3つの切り口でとらえるとわかりやすいです。
1.物理的劣化
コンクリート躯体の中性化や設備の鋼管の腐食などの物理的な経年劣化をいいます。一般的な経年劣化とは、物理的劣化を意味していると言えます。
修繕や改修により、物理的に修復可能な劣化とも言えます。計画修繕における予防保全は、物理的劣化の是正が目的となっています。
2.社会的劣化
デザインや設備の性能が時代遅れとなり陳腐化してしまうことを社会的劣化と捉えます。
法令が改正されることにより既存不適格になるなどの「社会の変遷や生活スタイルの変化」や「居住者ニーズの動向」など、マンションを取り巻く状況が変わってしまうことにより、相対的に劣化してしまった状況を言います。
3.経済的劣化
資産価値としてマンションを捉えたときに、そのマンションを売却する時の価格が「将来の修繕費用を下回った」時点で、経済的に劣化が進んだものと見なされます。
バブル経済期には、売却価格が当初の分譲価格の2倍や3倍に跳ね上がり、経済的劣化は逆行する動きを示しましたが、経済低迷期あるいは不況時には、地価の下落とともに、経済的劣化は進みやすいです。
このようにマンションの経年劣化とは、現実には上記の3つの要因がお互いに関係し合い、その時々で判断していくものとなります。