新人マンション管理士の理事会同行記(第1回)
―理事会のグループ討議で全員参加型に成功―
マンション管理士 新人のメル夫です。只今メルすみごこち事務所で研修中です。
今回は、総戸数500戸の某大型マンションの理事会に同行させて頂いた時のリポートです。このマンション管理組合の理事会の良かったことや、初めて知ったことなどをリポートします。
【理事は総数16名―発言するのは限られた方】
総戸数500戸の大型マンションともなると、理事の数は16人です。
2年任期の交代制なので、16名のうち6名が新任理事として就任されました。
理事会の冒頭__
自己紹介の後、議事に進みますが、発言されるのは継続の理事4名のみで、初めての方や女性の方が発言することはありません。しかしながら、この後、とても素晴らしいシステムが待っているのです。
【グループ討議で全員参加!】
第1回目である前回理事会の際、理事長から業務別グループ編成の説明があり、理事全員を3つの業務グループ(A生活関連、B修繕関連、Cコミュニケーション関連)に分けて業務を行うとの説明がありました。ここ迄は人数の多い理事会では通常よく行われていることだと思います。
私がいいなと思ったのは、この3グループごとの討議時間を30分と決め、理事会の時間内に行うことです。同じ会議室内で、椅子を持ち寄り、各コーナーに集まり夫々の課題を討議します。
私も「生活関連グループ」の討議に参加させていただきましたが、8人のメンバー全員が、男女隔たりなく積極的に発言し、一生懸命討議されていたことが印象的で、他のグループを見ても同じ状況でした。
これは素晴らしいことではないでしょうか。
【グループとしての意見をまとめる】
例えば、「生活関連グループ」のテーマは、植栽の変更案の作成と生活マナー改善対策です。
特に植栽問題は、単にデザインの問題ではなく、<自然をどう残すか>や<子供たちはどこで遊びたいと思っているのか>など、区分所有者の日ごろの生活感が要求されると思うのですが、それに応えるような活発な意見交換ができていると思いました。
小グループによる話しやすさが、全員参加型の討議につながったのではないでしょうか。ちょうど大企業で行われている「小集団活動」のようなものです。
30分後に全体討議に移り、3グループの各リーダーからグループ討議の結果報告があり、さらなる活発な意見交換につながりました。全員参加のお蔭で意見が集約でき、理事会として結論が出せて大変よかったと感じました。
【メル夫の今日の気づき①】
大型マンションでは、理事が20人近くになることがあります。
そのような場で「意見を述べよ」といわれても、なかなか発言しづらいのが現実です。
その場合、特定の方(いろいろな意味で声の大きい方)の意見に引きずられて物事が決まることはないでしょうか。また、その ”特定の方” の意見が必ずしも正しい保証はどこにもありません。
業務別のグループ討議では、少人数であるがゆえに、「全員での討議」が活発に行われたのち、理事会「全体での討議」がされるので、言ってみれば「民意が反映される理にかなったやり方」であると思います。
他のマンションでは、業務別の話し合いを、理事会とは別日程で行うケースが散見されます。
それなりにうまくいっているとは思いますが、月1回、2時間だから出席できるという理事のニーズが確実にあり、また、そういう方にこそ積極的に出席して意見を言ってほしい、と考えるべきではないでしょうか。
なお、小グループでの討議時間は30分が妥当でしょう。
【メル夫の今日の気づき②】
標準管理規約では、「理事は、理事会を構成し、理事会の定めるところに従い、管理組合の業務を担当する」とあります。
今回勉強させていただいた、マンション管理組合の管理規約では、関連条文の2項以下に「A生活関連、B修繕関連、Cコミュニケーション関連各担当理事は各業務を行う」として担当理事の業務範囲を明確化しており、当然かもしれませんが、理にかなった合理的なやり方の裏付けを確りとしていると気づきました。