【新人マンション管理士レポート】消防計画、2ではなく1とみなすビルに注意

東京都心にある、隣り合う2つの複合用途ビル(共同住宅とテナントが混在するビル)を所有する建物オーナーから、統括防火管理者の委託を2棟まとめて引き受けることになりました。そこで、2つのビルの統括防火管理者選任届や消防計画を「それぞれ」作成したのですが、作成段階で建物オーナーから「2つのビルは別々の不動産でビル名も住所も異なるが、ビルの一部がくっついている」との話を頂きました。

__このとき、以前に体験した「あの話」を思い出せれば、事前に消防署へ確認に行けたのに…。

今回は、2つのビル別々に「統括防火管理者選任届と防火管理者選任届・消防計画」を作成し、所轄の消防署へ提出しました。管理権原者(建物オーナー)、防火管理者・統括防火管理者(共に当社)全て同じです。

消防署の受付担当者は「ちょっとお待ち下さい、データで確認します」といって、奥で上席の方と相談しています。しばらくして上席の方が出てきて『この建物は、建築基準法上は別々のビルだと思うが、消防法上は1つの防火対象物とみなしているので、2つの選任届や消防計画は受理できません。統一での提出に変えて下さい」と言われました。

管理権原者も防火管理者も統括防火管理者とも両方同じ方なので、一つの書面にビル名等は左右併記し、テナントの一覧表も一列にまとめ、階数表示も「Aビル○階・Bビル○階」というような表記にするようご指導を頂きました。

このご指導を頂いている時に「あの話」が思い起こされました。以前、やはり都心にある2つの建物(マンション)で、2つの建物がエキスパンションジョイント(地震や温度伸縮などによる変形から建築物を守るために設ける接合部分)で繋がっていた案件を消防署へ持ち込んだ時に、同じことを言われ、両者の関連各位へ説明してご了解を頂き、連名での統括防火管理者選任届を提出した苦い辛い経験でした。

2つの建物の書面を一つに統一しようとすると、またまた1から作り直し時間も相当かかり、さらに両者間の合意形成も必要となります。あのときはとても大変でした。なぜあれだけ苦労したのに、今回書面作成前に思い出せなかったのだろうかと悔やみます。

話は戻り、こちらの建物の現状を説明し、今回持ち込んだ書面での受理を再度丁重にお願いしたところ「今回だけ特別に認めるが、次回書面内容に変更等ある際は統一でお願いします」と、特例的に認めていただけました。

そして幸いなことに、その他の修正箇所はその場(消防署内の受付)での修正が認められ、何とか受理頂きました。トータルでの手続き、お願い、及び修正時間をあわせて、全部で何と3時間15分かかりました。過去最長です。

消防署の皆様に感謝です。

もうこの大変な思いはしたくないので、書面作成に掛かる前に所轄消防署へ確認する、ということを骨身に染みて叩き込むことができた案件です。

 

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