―駐輪場対策の事例―共用部分に多数の自転車―
マンション管理士 新人のメル夫です。
今回は、埼玉県にある総戸数75戸の中規模マンションの理事会に同行した時の、駐輪場関連の討議での気づきをリポートします。
【共用廊下に駐輪多数、こんなマンション見たことない!】
理事会では駐車場問題が論議されています。
このマンションには駐輪場が80台分あるのですが、共用廊下等への駐輪が非常に多く驚きました。共用廊下への駐輪は、置き方によっては災害時に避難の妨げになるので、消防法上違反の恐れがありうるとともに、マンションとしての美観・景観・衛生上の問題も懸念され、不動産価値の低下につながるリスクが高くなることも考えなければいけません。
理事会では駐車場問題が論議されています。
このマンションには駐輪場が80台分あるのですが、共用廊下等への駐輪が非常に多く驚きました。共用廊下への駐輪は、置き方によっては災害時に避難の妨げになるので、消防法上違反の恐れがありうるとともに、マンションとしての美観・景観・衛生上の問題も懸念され、不動産価値の低下につながるリスクが高くなることも考えなければいけません。
衛生上の問題とは、特に子供用自転車はよごれたまま館内を移動したり、清掃時に清掃員の方が勝手には移動できず作業がしにくい等の問題が懸念されるからです。
更に、駐輪場には、明らかに長期不使用(パンク、錆だらけ、埃まみれ等)と思われる自転車が何台か置かれ、外観上あまり好ましくないばかりか、周りに迷惑をかける恐れもあります。
【理事会で討議しアンケート調査を実施】
理事会としては、こうした現状を踏まえて対策を検討しました。
まず、住民はなぜ駐輪場が空いているのに使わないのでしょうか___。
まず、住民はなぜ駐輪場が空いているのに使わないのでしょうか___。
考えられる理由を想像しますと、風雨にさらされる恐れ、盗難にあう恐れ、そして自転車によっては上段には置きにくく、下段でも奥行きの深くない場所は使いづらいということではないでしょうか。
共用廊下は、反対に安全であり、便利であるとのことのようです。
共用廊下は、反対に安全であり、便利であるとのことのようです。
マンション管理費や修繕積立金は、組合員から預かったお金ですから、必要性を十分吟味し納得の得られる使い方が必要です。お金に余裕があれば、かつ組合員の全員のためであれば、駐輪場の整備への投資も検討出来ますが、現状では優先度を勘案し慎重にならざるを得ないと思います。
そこでまず実態とその原因を探るため、住民にアンケート調査を依頼することにしました。アンケート調査の「質問事項」は、次のようにしました。
1.現在自転車をどこに駐輪していますか
2.共有廊下や玄関ポーチに駐輪している理由は何ですか
3.処分希望の自転車がありますか
4.シェアリング自転車があれば乗りますか
5.要望意見
【アンケート結果⇒勝手な思い込みで、3分の2が共用廊下に】
各質問への答えは次の通りでした。
各質問への答えは次の通りでした。
1.何台をどこに駐輪?
⇒➀共用廊下(63%)②駐輪場(37%)
⇒➀共用廊下(63%)②駐輪場(37%)
2.共用廊下に置く理由は?
⇒➀勝手な思い込み(33%) ②駐輪場は不便(31%) ③駐輪場は不安(30%) ④その他(6%)
3.処分希望は?
⇒15台(31%)
4.シェアリング自転車は?
⇒①使いたくない(39%) ②わからない(22%) ③使いたい(16%)
5.要望意見?
⇒➀共用廊下の自転車は置くべきでない ②駐輪場への要望(増設、セキュリティ強化、増幅) ③駐輪場の管理強化(シール管理、登録ラックに他人車、雑な使用) ④有料化は反対
⇒➀共用廊下の自転車は置くべきでない ②駐輪場への要望(増設、セキュリティ強化、増幅) ③駐輪場の管理強化(シール管理、登録ラックに他人車、雑な使用) ④有料化は反対
【理事会での対応案の検討】
アンケート結果を受けての対策案を審議した結果は、次の通りで、今後継続検討となりました。まずは「案2」以下を除き、お金のかからない対策「案1」で様子を見ることになりました。
1.不要自転車の処分促進
2.平置自転車置場の2段化
3.有料化(下段の差別化)
4.バイク置場と駐輪場の場所を見直し
5.子供用自転車だけは共用廊下への駐輪を認める
【メル夫の気づき】
正しい対策を打つためには、実態把握と原因究明が必要です。今回のアンケート調査は量も多く大変でしたが、実施して良かったと思います。
また、共用廊下に置く理由は、「勝手な思い込み」が一番多く意外な結果でした。人間の心理というものは中々難しいものなのですね。調べてよかったと思います。
自分の大事な自転車が風雨に曝されるとしたら、あるいは、セキュリテイ上不安だとしたら、廊下に置けるものなら置いてしまおうという心理は理解できそうな気がします。
このような方々への対策案としては、駐輪場のセキュリテイ強化や、風雨を防ぐ手立てを検討する案を入れる可能性もあるのではなかと思いましたが、一方設備投資にかなりのお金が掛かるので、この案の実現は難しいと思いました。
このとき、あらためて気づきました。
管理組合の預かっているお金は大切です。修繕積立金は目的以外の用途には使えません。修繕積立金は大規模修繕のほか予期せぬ修繕が必要となることのためにあるのです。何が必要であり、何を最優先にするかを考える場が理事会なのです。
管理組合の預かっているお金は大切です。修繕積立金は目的以外の用途には使えません。修繕積立金は大規模修繕のほか予期せぬ修繕が必要となることのためにあるのです。何が必要であり、何を最優先にするかを考える場が理事会なのです。
仮に、駐輪場を有料化して駐輪場の改修費用を捻出しようとしても、月200円だと100台ですから年24万円、10年で240万円。これでは改装対応は中々難しいかなと思いました。
(新人マンション管理士 メル夫)
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