メルすみごこち事務所のメル夫です。今回は、メル夫のおこなっている防火・防災管理に関する消防署からの指導事例から、参考になると思われる事例を紹介したいと思います。テーマは委任状です。
【委任状が必要な場合がある】
防火管理者の選任は、本来管理権原者が自ら防火管理者の講習を受講して資格を取得し、自ら届出ることが原則です。ただし、自らが防火管理者になることができない正当な理由がある場合に限り、委託することができるとされています。
「委託」に際して、特定の消防署においては、自らが防火管理者になれない理由を求めるにあたり、業務委託契約書のみならず、防火管理業務を委託者に委任する旨の「委任状」の提出が求められる場合があります。
その特定の消防署というのは、神奈川県の川崎市消防署が一例ですが、消防署の場合は自治体ごとに独自の管理体系が決められているので、その他の消防署でも、事前の確認が必要です。
ちなみに、「委任状の形式は問わない」とのことでしたが、消防署のご厚意でひな形を送っていただくことができました。
【統括防火・防災管理者を選任する場合も】
統括防火管理者(雑居ビルなど管理権原が分かれている一定規模以上の建物において、建物全体の防火管理業務を行う防火管理者)の選任に際し、管理権原者(多数の人を収容する建物・施設の防火管理について権原を有する人。建物の所有者・事業所の代表者・マンション管理組合の理事長など)から、必要な業務を適切に遂行するために、消防計画の作成や避難訓練の実施等、必要な権限が付与されていることが必要です。
かなり実務的な話になってしまいますが、統括防火管理者の「資格を有する者の要件」という書類を提出する際に、「協議会(店舗オーナーからなる)構成員一覧表」を添付して「共同防火管理協議事項」を提出するのですが、協議会構成員の皆様(各店舗オーナー)から委任状を頂くことが必要となる特定の消防署がありましたので注意が必要です。
その特定の消防署というのは、神奈川県の横浜市港北消防署が代表的な例です。書類の様式は当該消防署のホームページにひな形が掲載されておりますので、参考にされるとよいと思います。
消防署の場合は自治体ごとに独自の管理体系が決められているので、その他の消防署でも、事前の確認が必要です。
【メル夫の気づき】
メル夫も防火管理者や統括防火管理者の色々な届出をしてきましたが、消防署が委任状をわざわざ提出させるのにはわけがあると考えます。本来は管理権原者が自分で行うべきことであるため、委託を安易に認めない。つまり、管理権原者が自身で本当に出来ない理由を確認し、「委託者に防火管理者として、消防計画の作成、消防訓練等の立案をお願いする」という意志を確認するためではないでしょうか。
15年以上前に職場で防火管理者をしていた時、新築の建物で不備を指摘されました。 その時は防火管理の担当ではなかったのですが、変更を届け出していなかったため、消防署にひどく叱られました。 私が名目上の防火管理者では消防法施行令上いけないため、上司を講習に行かせ、防火管理者資格を取りに行かせました。 上司は管理権原者が指示して防火管理者になってもおかしくないため、何も言わず講習へ行きました。 それにしても関東は形式的ですね。 大阪では、実質上防火管理の任に職務分担でつき、業務ができれば、規則上のきついことは言いません。
■以下、ライターの「メル夫」から預かったコメントです。対応が遅くなり申し訳ありませんでした。
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コメントありがとうございます。関西の詳しい事情がわからないので、お答えする立場でないかもしれませんが、関東はどんなところが形式的に見えるのでしょうか。消防法で定められている一定の建物に防火管理者、統括防火管理者の選任が必要な場合には、管理権原者が自ら防火管理者講習を受講し、防火・防災管理者の資格を取得し、防火管理者、統括防火管理者選任届を提出するという基本は変わらないと思います。選任がされていないと選任されていない旨の指導があるのは同じではないでしょうか。
また、選任された以上提出した消防計画の実施、その他消防法で決められた事項の実行は防火管理者、統括防火管理者にとっては当然実施すべきことで、関西関東を問わず変わらないと思います。
但し、防火管理者、統括防火管理者の選任の届出の手続きにつきましては、東京消防庁の規定が基本ですが、各自治体ごとに独自に規定されており、確かに手続きが複雑なところ条件が厳しいところ等があります。これは関西関東という区分ではなく、各自治体により異なりますので、そのルールに従う必要があります。詳しくは各自治体の消防署のHPあるいは管轄の消防署にお尋ねになることをお勧めいたします。