ポリ塩化ビニル(塩ビ)の排水管は錆びないですが、ステンレスワイヤーメッシュ(鉄線を縦線と横線を直角に配列させて溶接したもの)で削れてしまいます。
多くの分譲マンションで、排水管の高圧洗浄を毎年実施されていると思われます。排水管の保全を行うために高圧洗浄を行うことは大切なことですが、高圧洗浄を実施したために排水管から水漏れを起こしたという例が、築20年前後のマンションでも起こっています。
上図のようにキッチンやお風呂といった場所の排水口から高圧洗浄のホースを差し込んでいきますが、床下からたて管に至るまでのエルボー部分の塩ビ管とステンレスワイヤレスメッシュのホースが強く擦れます。何度も同じ箇所が削られてしまいその部分が破損し水漏れを起こす事故が起きています。
最近では、ゴム被膜のワイヤーを使うことが多いので削られるリスクは減ってきましたが、念のため高圧洗浄を行う際には洗浄業者にステンレスワイヤーメッシュのホースを使っていないことを確認することをお勧めします。
同じマンションで、この種の事故を複数回繰り返すと次回以降は、「請負業者が洗浄作業実施にあたり賠償責任保険を利用できなくなった」等の理由で、洗浄業者から実施を拒否される可能性があり、そうなると排水管がつまり、上位階で排水口から水があふれ出す「水漏れ事故」を引き起こす可能性もあります。早めにゴム被膜のワイヤーを使用している業者に切り替えることをお勧めします。
水処理装置「エルセ」を設置したマンションでは、排水管内のスケールや酸化物の固着をある程度、防ぐ効果があります。ただし、排水管内には、何が捨てられるかは居住者のモラルに依存しているため、高圧洗浄の頻度をどの程度にするかは、管理組合の方針により異なりますが、エルセを設置したマンションでは高圧洗浄の頻度を少なくするところが多いです。
これにより高圧洗浄のワイヤーによるエルボー部の破損のリスクもあわせて低減することが期待できます。
優先度が低くなりがちなマンションの給排水管の保全。とくに専有部は、修繕積立金でカバーされず各自の負担となる組合が多く、年月を重ねるごとに、ボディーブローのように配管の保全費用が重くのしかかってきます。利害関係者に振り回されず無駄使いを避けるちょっとした情報をご提供いたします。【配管保全センター株式会社】https://haikan-hozen.co.jp/