授業のポイント
- どのマンションにも、使われていない自転車がある
- 最終的に「強制撤去」は遺恨を残す可能性がある
- 住人が、自ら、捨てようと決断できる環境をつくる
授業を担当する、出欄松圭(デランマツ ケイ)です。
「マンションの駐輪場が不要な自転車であふれている」、これは多くのマンションで見られる光景です。独自調査の結果、2割程度の自転車が全く使用されていない可能性が高いことがわかりました。
皆さんのマンションでも調べてみてください。パンクのまま、埃をかぶっている自転車がすぐに見つかるはずです。
このように使われていない自転車が増えると、「窓割れ理論」のように、ますます不要な自転車が増えることになり、最悪のケースでは駐輪場がガラクタ置場のようになってしまいます。
かつて、落書きだらけの構内で犯罪が多発していた、ニューヨークの地下鉄みたいな状況にはしたくないですね。
このような放置自転車に対して、管理会社のフロント担当者の多くは、
- 使われていない自転車に警告文を貼る
- 各自での処分を促す
- 一定期間経過したら強制撤去する
という方法を提案します。
それ自体は間違っていませんが、「勝手に捨てられた」と遺恨を残す可能性があります。
そこで、自らの意志で捨ててもらえるよう、「なぜ、不要な自転車を捨てないのか」の理由ごとに対処法を考えたいと思います。
駐輪場使用料は月額100円のような少額、かつ、管理費と同時に自動引き落としのため、支払っている感覚がない。
対処法⇒塵も積もれば山となるを伝える
月額100円でも、1年で1200円、10年で12000円の無駄遣いであることを広報して、早い処分を訴えると理解を得られる可能性があります。
対象法⇒それらの手続きを管理組合が行う
処分してほしい方は、名乗りをあげてもらうだけというオペレーションにすれば、多くの希望者が現れる可能性あります。
一度、駐輪区画を手放すと、将来的に必要になった時に使えなかったり、不動産売却の際に不利になるのではないかと考える。
対象法⇒手放しても大丈夫というルールをつくる
あらかじめ、1部屋につき●区画までと割り当てたり、使用していないときは他人が使える制度を創設する、再度使用の必要性が出た場合は●ヶ月以内に復活できる、などのルールを定めれば手放しやすくなる可能性があります。
こういう理由を言う方は、結局のところ乗らない可能性高いも、このような主張をされる方は多いです。
対処法⇒マンションでシェアサイクルにチャレンジ
管理組合の予算で自転車を購入して、シェアサイクルを始めるのはいかがでしょう。いつでも乗れる状態に整備しておけば、「たまに使いたい」という需要を満たすことができます。このシェアサイクルは、有料サービスもいいですが、料金徴収やマネジメントが大変なため、無料でいいのではないかと思います。そもそも、都心のマンションなどは、街にシェアサイクルのインフラが張り巡らされていることも多いですね。
最後にシェアサイクルを始める際の注意点をについてお話しします。
まず、シェア用の自転車は管理組合の所有物になります。そこで、「あくまで利用者の自己責任で乗って下さい」「使用中に盗難や紛失をした場合は新品を購入してもらいます」等のリスクヘッジをしたほうが良いでしょう。
それでも、管理組合の所有物で事故でも遭われたら困るという場合は、自転車購入時における自転車向けの保険である「TSマーク」をつけてもらうことをおすすめします。1年間2000円程度で大きな負担にはなりません。