コロナでこんな世の中になる前の話ですが、統括防火管理者と共用部の防火管理者の委託相談を受けた、東京都台東区のビルのオーナーから、「防火対象物点検もお願いしたい」と追加相談をいただきました。
オーナーの話では、相談の1年前に所轄の消防署の方が来られて「防火対象物点検を実施して、報告書を出してほしい」と連絡があったそうです。しかしこの点検を行わずにいたところ、このビルのテナント(ビルの各部屋の借主)からオーナーへ「こんな通知書が消防署から届いたのだが、どうすれば良いか?」と相次いで連絡があったそうです。
その「違反事項通知書」の写しをいただきました。
消防署から「違反指摘事項を改修しない場合は消防法違反で罰せられることがある」と通告されたら多くの方がびっくりするのではないでしょうか。
ちなみにこの罰則を調べたところ、30万円以下の罰金又は拘留となっていました。(消防法第44条)
防火対象物点検制度ができた背景を調べると、平成13年に歌舞伎町の雑居ビルで起こった火災事故を受けて、翌年に消防法が改正され「防火対象物点検資格者制度」でができました。(消防法第8条の2の2)
ところで、こちらの建物オーナーに、この防火対象物点検のお知らせが、1年前より以前にも来ていたかを尋ねたところ、記憶では1年前が初めてであった、とのことです。ビルは防火対象物点検制度ができるよりも前に建てられたものですので、消防署が個々の建物に指導を入れ始めたのは比較的最近のことではないか?と想像します。これから、消防署の指導が厳しくなるのかもしれません。
現在、こちらのビルは防火対象物点検を1年ごとに実施し、消防署に届け出もしています。歌舞伎町のビル火災で44名が亡くなった事故を思いだすと、ビルの入居者や来客の安全を守るために、法令順守の徹底はとても大切なことです。