マンションの管理組合は大規模修繕工事に関して知識や経験がほとんどなく、素人に近い状況です。ですから、管理組合の良きパートナーとなってくれる専門家として、設計事務所を味方につけて、大規模修繕工事を進めることを私は推奨します。
しかし、昨今、不適切コンサルタントやバックマージンという、管理組合のお金を掠め取る悪質な業者が業界に不安を巻き起こしています。
これは全ての業界関係者がやっていることではありませんが、一部の管理会社などが大規模修繕工事において、管理組合の知らぬところで特定の施工業者が工事受注するよう仕組んで、その見返りとして施工業者からバックマージンを受領しています。
それならば、我々はそういう会社をパートナーの選定候補から除いてしまえばいいのではないかとなりますが、その会社はいったいどこなのか情報がありません…これがとても困った問題です。しかしながら、その会社は、今日現在も存在し、大規模修繕工事に関する業務を続けているのです!
管理組合の皆さんは、設計監理方式を利用するために、この落とし穴に落ちないように、適正な設計事務所を見つけなければなりません。(←これが一番難しい)
私は、前職で10年間、大規模瑕疵保険の営業を行ってきました。まさにマンション修繕業界で様々な業界関係の方たちと関わってきました。しかし、そんな私でも、不適切コンサル会社がどの会社なのか、わからない、というのが本音です。
そこで、私なりに考えた方法をお話しします。
過去の設計監理業務を行ったマンションから多くリピートを受けている設計事務所を選ぶ
適正な業務やアフターフォローを行っている設計事務所は、適正な設計監理業務を行っています。ですから、過去に設計監理業務を行ったマンションから何件リピートを受けているかを選定条件にするのはどうでしょう。(管理組合からリピートマンションに真偽確認ができることも条件にしましょう。)
マンション管理組合と工事完了後にどんな関係をしてきたか確認する
前項に似ていますが、その設計事務所が誠実であれば、今回の設計監理業務をきっかけに管理組合と長いおつき合いをしたいはずです。自分が設計監理を行ったマンションは、工事終了後もアフターフォローを行ったり、管理組合からの技術的な相談にのってあげたり、自らアドバイスしたり、マンションの維持管理を見守っていきたいはず。そこで、設計監理実績のあるマンション管理組合と、その後どんな付き合い方をしているのか確認してはどうでしょう。もちろんこれも、相手の管理組合に真偽確認できるようにしてもらうのは当たり前ですね!
資格者の年齢や正社員かの確認をする
一級建築士など資格者がたくさんいると、管理組合の皆さんは、実力主義の誠実な設計事務所ではないかと勘違いしてしまいがちです。しかし、中には見せかけだけで、有資格者の数を増やすために、現役引退した資格者を契約社員にしたり、名義貸しさせたりと、あの手この手で見かけを良くしている設計事務所もあるようです。マンション修繕業界では、一級建築士が1人~3人程度でも、十分に実力のある設計事務所がたくさんあります。
下請け業務実績を確認する
不適切コンサル会社は、バックマージンを主要収益としているはずですね。そうすると、本来の設計監理業務や建物診断など技術力が問われる業務はあまり積極的に行っていないはずです。(私の仮説)
下請け業務は、元請け会社がその設計事務所を信頼して業務発注します。また、業務料も適正であまり高額にはならないはず。(つまり、誠実である、技術力がある、高額ではない業務料も受ける=欲張りではない)
以上、いかがでしょうか。
これが全てではありませんが、このようにいろんな仮説をたてて、信頼できる設計事務所を見つけるアイデアを管理組合の皆さん方でお話し合いするのも、いいかもしれませんね。そういう意識が高い管理組合は、不適切コンサルもきっと危機意識を感じ、近寄ってこないのではないでしょうか