【切っても切れないマンションと保険の話し】マンションの寿命を左右する外壁補修

マンションの大規模修繕工事の中でも重要な工事の一つに挙げられるのが外壁補修です。そもそもなぜ、外壁を補修するのか、実際にどのような工事をおこなうのかなど、外壁補修についてお話しします。

マンションの外壁は長年、気温の変化に影響されながら膨張と縮小を繰り返します。また、雨、風、湿気などによる影響も加わって経年劣化が生じます。すると、表面のタイルやモルタル、サイディング(板状の外壁材)に浮きや反り、ときには剥落が起きることがあります。とくに高い場所からタイルなどが剥がれ落ちることは非常に危険です。

また、外壁が劣化して、耐久性が失われると、防水性能の低下、外壁内部の腐食といった問題も引き起こします。定期的な外壁の診断と補修が必要なのはこのためです。加えて、タイルの張り替えや塗料の再塗装、その他各種処理を施すと、防水などの性能維持・向上を図ることもできます。同時に外観の美しさを取り戻すことで、マンションの資産価値を高めることも可能になります。

それでは、マンションの外壁補修にはどのようなものがあるのか見ていきましょう。

 

 

外壁の塗装
塗装仕上げを行っている塗装壁では、だいたい10~15年ごとに塗り替えを行います。塗装の前には表面の清掃とケレンを行い、塗装の下の素材に劣化や損傷が見られた場合はその部分を補修します。仕上げはカラーリングを変え、外観の雰囲気を一新することもできます。

タイルの張り替え
タイル壁は、タイルの欠損、浮き・剥離、ひび割れなどをチェックします。ダメージがひどい場合は不良箇所の一部張り替えによる修繕が必要です。それほどひどくない場合は、浮き部分を固定させるための工法、浮きや剥離を予防するための工法を施します。

コンクリートのひび割れ・浮き補修
再塗装やタイルの張り替えを行う際は、その下のコンクリート部分のひび割れ(クラック)や腐食が起きていないかをチェックします。補修作業の他、コンクリートの中性化防止の処理を行うことで、コンクリート内部の鉄筋や鉄骨の錆の進行を押しとどめ、劣化を抑止することができます。

外壁の洗浄
外壁の洗浄はタイル、モルタル、サイディングなど外壁の種類に合った最適な方法で行います。高圧洗浄や薬液洗浄がその代表です。その後、防水効果を高めるために薬剤などのコーティングを施す場合もあります。

マンション外壁補修中の注意点
具体的には、住民は自分のベランダの片づけを行い施工業者が工事をしやすくする、工事期間中にベラんダ側の外壁を補修する時には、洗濯物を干すことができない期間があること、騒音・臭いなどが発生する可能性があること、などを管理組合は施工業者から予定を聞いて、区分所有者や住民へ知らせる必要があります。

そのため、工事前に管理組合を対象に工事説明会を開き、質疑応答も行いつつ注意事項を伝達します。全体の工事期間・工事箇所についても説明し、工事の時期が近づいたら掲示板やチラシを使って、それぞれの階や住居に、「いつ、どのような影響があるか」わかりやすくお知らせします。

マンション外壁塗装用の費用
外壁の補修や塗装の費用は、ケース・バイ・ケースで費用が異なります。塗装仕上げ、タイル張りなどの外壁の種類によって異なるだけでなく、調査診断の仕方、劣化の度合いや建物規模、そのためにどんな工事が必要かという条件によっても費用が違ってきます。ただし、長期修繕計画の修繕工事費の割合で見ると、「外壁塗装等」の工事に費やす金額は高額になる可能性が高いです。

平成23年国土交通省「マンション修繕積立金に関するガイドライン」中の「収集した事例の長期修繕計画の修繕工事費の割合の内訳」というデータによれば、「外壁塗装等」に費やす費用は全体の18.8%で、これは給水設備(9.8%)、屋根防水(6.7%)、仮設工事(6.5%)などと比べて2~3倍となっています。
※今後は高経年マンションが増加し、給排水管路や給水設備工事が増えると言われています。

このように、マンションの外壁補修は重要であると同時に大変大掛かりな工事です。管理組合として、とくに念入りなプランニングをして工事に臨むことが求められます。

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