―マンション管理組合の駐輪場の整理と共用部分駐輪防止に良い対策はないか?「資産価値低下」とならないために!―
いろいろなマンション管理組合の理事会や総会等へ訪問させていただき、その活動を通して得られた「気づき」をリポートさせて頂きます。まだまだ文章が拙いかもしれませんが、どうぞ宜しくお願いします。
【駐輪対策はマンションの資産価値低下防止に直接結びつく? 】
最近マンション内に自転車が増加し、駐輪場が一杯で日常の自転車の出し入れに支障が出ていませんか?あるいは、共用部分(廊下等)にも駐輪される方が増え、共用部分の通行やマンション内の美観や衛生に影響は出ていませんか?
このような状況が続くと、「管理の行き届いていないマンション」と判断され、資産価値が低下することに結びつき、困るのではないでしょうか。
しかしながら、毎日幼稚園や保育園の送り迎えに使うご家庭や、通勤通学用に使う方々等、自転車問題は管理組合員の生活に直結しているだけに、具体的な実施が大変難しいといえます。
理解を頂き、かつ、トラブルを避けながら、どのように整理していけばよいのでしょうか。
今回は、神奈川県のある中規模マンション(総戸数70戸)の理事会に同席しました。その審議事項のなかに「自転車の廃棄処分の進め方」と「自転車対策の検討」がありました。
自転車は、生活必需品として重要施策のひとつであり、どのように調整を行うべきかを、勉強させていただきました。
【自転車の廃棄処分の審議】
理事長の話によると、以前より使用されていない自転車が10台以上平地の自転車置き場に放置されたままとなっており、前管理会社が廃棄処分を約束していたにもかかわらず、契約終了時に約束を履行しなかったため、そのままになっている。早急に実施を具体化したいとのことです。
【担当のマンション管理士からの提案―自転車の廃棄処分の進め方】
①一定期間(1か月)広報のうえ、申し出のなかった車両については、管理組合負担で処分
②廃棄自転車の手続きは、案内状に添付した「専用荷札」に、部屋番号と区分所有者名を記載し、対象自転車の後輪にくくり付けることで廃棄処分対象とみなす
審議の結果、担当マンション管理士からの提案は承認されました。
【担当のマンション管理士からの報告ー自転車対策の検討】
≪駐輪に係る現状と課題≫
①共用廊下へ駐輪する方が各階とも一定数いる(目に余る状況です)
②共用廊下への駐輪は置き方によって法令違反(消防法違反)なだけでなく、マンションとしての美観・景観・衛生(清掃時に作業ができない)の低下があり、不動産価値の低下につながるリスクが高い
③2F駐輪場は、使いづらい上段に空きがあり、下段は混雑している
≪駐輪場と自転車利用の現状に対する考察と提案≫
①駐輪場以外の共用部分(廊下等)への駐輪を見直したい
②駐輪場を快適で使いやすいものにしたい(台数を減らし混乱を改善・ラックの改修)
③駐輪場の有料化を検討
④台数を減らすために、不使用車両の処分を支援
⑤共用自転車(シェアリング)を導入
≪駐輪場・自転車の利用と処分に関するアンケート実施の提案≫
自転車問題の解決を図るべく、駐輪場・自転車についてアンケートを実施し、併せて不要自転車の処分促進を依頼したい。
審議の結果、自転車シェリングは別途検討とし、その他の項目は承認されました。アンケートによる意見集約に期待します。どんな意見が出てくるか楽しみです。
今回の駐輪場・自転車の利用と処分に関しては次のことを勉強しました。
【メル夫の今日の勉強】
①理事会メンバーは、「目的は共用部分の美化」であるとの共通意識を持つことができましたが、これは「駐輪場と自転車利用の現状と課題の整理」によるところが大きい。
②これを組合員全員に理解してもらい、実行に移してもらう、すなわち、共有部分に自転車を持ち込むことをやめさせるのは、これからの浸透活動次第であり、そして全員の要望に沿った移動先の「設備改善」が大事になってくる。
③アンケート調査には、現場、現実の意見、アイデアが詰まってくる。これらをいかにうまく引き出すかが、管理組合活動の基礎である。
④「共用廊下への駐輪は置き方によって法令違反(消防法違反)」については、正しい理解と浸透が必須で、色々な意見があると思いますが、「ポーチ、アルコーブはマンションの共用部分であり、廊下と同じ扱いとなるので通常の用法に従って使用する、すなわち私物を置くことは一切できません」(但し専用使用権が設定されている場合は下記参照)という考え方が正しいのではないでしょうか。
【マンション管理組合の学校 新人マンション管理士 メル夫】
<ご参考>
相談事例④ : 玄関前にポーチがありますが、自転車やその他の私物を置いてもよいものでしょうか。(回答者:篠原みち子弁護士)
門扉で区切られているポーチの場合は、「専用使用権」が設定され、「専用使用部分」という扱いになっていることが多いようです。この場合は、一般的にはその使用細則等があり、その細則にしたがって使用することとなりますが、避難通路になっている場合は、自転車やその他の私物を置くことは、認められないでしょう。
門扉で区切られていないアルコーブの場合、また、「専用使用権」が設定されていない場合は、廊下と同じ扱いとなりますので、通常の用法にしたがって使用することしか認められません。したがって、私物等を置くことは一切できません。