■修繕積立金にリバースモーゲージの融資
2021/3/10 R.E.port
https://www.re-port.net/article/news/0000065008/
(独)住宅金融支援機構が、今年4月から、経年マンション等が修繕積立金の不足分の資金を確保できるよう、
『区分所有者向けリバースモーゲージの融資』をスタートさせるそうです。(このコラム掲載時点ではスタート済み)
これは滞納を減らす切り札になるのでしょうか?
リバースモーゲージというのは、
自宅を担保に生活資金を借入れし、自らの持ち家に継続して住み続け、借入人が死亡したときに担保となっていた不動産を処分し、
借入金を返済する仕組みのことを言います。
今回の新商品は、このスキームを活用した応用版で、
分譲マンションの区分所有者が、自宅を担保に「将来に及ぶ修繕積立金」を借り、
住宅金融支援機構がそのお金を直接管理組合に前払金として一括払いするものです。
『管理組合は、受け取った融資金を修繕積立金のみに充当し、
共用部分の修繕に限って使用することができます。』という利用条件があり、
この条件に該当するよう、マンション管理規約の改正等を行なう必要があります。
記事を読んでいて気になったのがココです。
・当該マンションからの退去等に伴い融資金を完済した場合でも、
充当された修繕積立金はマンション管理組合から返還されない
例えばですが、向こう20年分相当を一括払いした後、
15年で退去することになっても、5年分は戻ってこないため、
区分所有者的には「損する」ように読み取れるのですが、
これはリバースモーゲージで、基本的には死亡で終了するので本人に損得が及ばないけど、
途中退去の場合はリスクがあるということでしょうか。
この辺り、本格的リリースになるともう少し情報が出てくるはずですので、
待ちたいと思います。
で、この仕組みが滞納対策の切り札・・・にはならなそうですね(笑)
まず、他に多額の借金があるときは、返済能力懸念により、審査に通るのは難しいと思います。
もっぱら、「今は払えているけど、先々もずっと支払い続けられるか不安」
といった人たちが利用することになると思います。
金融商品なので当然リスクもあるはずですから、そのリスクを取ってでも
滞納を回避しようという心根の人たちは、この仕組みがなくても
他人の迷惑にならないよう優先して共益費を払うでしょうし、
それが難しくなったら滞納する前に退去するのではないでしょうか。
でも、だからこそ、そういう人たちが自宅を失わないで済むよう、
こういう制度が出来るのはとてもいいことだと思います。
マンション管理士。世田谷区在住の実は関西人。自ら居住するマンションの理事長を歴任し「住民・理事の目線」を持ちつつ、某大手インフラ系企業の経営企画室で鍛えられた情報収集力・整理力・課題発見力を活かし、現在は株式会社メルすみごこち事務所の経営アドバイザーを兼務している。