【マンション管理組合の教科書】マンション理事長の代行についてインタビュー、いきなりモンスター住人(1)

当校、理事会モチベーターこと、株式会社メルすみごこち事務所の深山氏に「マンション理事長の代行」についてお話を伺いました。

 

 

■マンション管理組合の理事長代行で、またもや苦労した経験があるようですね?

最初に「マンション管理組合の理事長代行や管理者を引き受けるビジネスって、儲かるんじゃないかな」と考えているマンション管理士の方に、言わせていただきます。

プロに理事長代行や管理者を依頼されるマンション管理組合の「かなりの割合」が、お問い合わせ時に「普通ではない『何か』」を背負っています。

その『何か』を楽しめるメンタルを持って、引き受けて下さい。

以前に当社が管理者(理事会制度のないマンションの代表は『理事長』とは呼ばず『管理者』と言います。)をお引き受けし、おかげさまで今では安定的に業務遂行ができている、東京都区部の約50戸投資型ワンルームマンション、仮にA管理組合とします。

そのお問い合わせのきっかけは、とても奇妙でした。

 

■どのようなお問い合わせだったんでしょうか

A管理組合の理事さんから「メルさんに管理者を引き受けてもらいたい」と「当社ご指名」でオファーが入り、理事や区分所有者が5名で当社へ尋ねられました。皆さん、投資マンションのオーナーだけあって、マンションの管理や修繕に一定の知識があり、話も活発で「なんでこの状態でマンションの理事長を外注したいのか?」読めません。

聞いた話をざっくり要約すると、概ね次のような内容でした。

  1. 現状は理事会があり、マンション内に居住する役員が1名、あとは全員外部区分所有者で、今日来たのは全員が外部区分所有者である。
  2. 今回、その理事会を廃止して、自分たちは一区分所有者へ戻り、当社へ管理者を依頼したい。
  3. ちょっとだけ面倒な区分所有者、ここでは仮にB氏がいる。
  4. 現在、別のコンサル会社、仮にC社としますが、大規模修繕工事の設計監理業務と、管理費削減コンサルとを依頼して、現在進行中である。ちなみに僕が20代後半のときに修行させてもらったコンサル会社だったんです!
  5. これまで理事会活動を続けてきたが、今日出席した外部区分所有者は全員現役世代で、仕事やプライベートが忙しく、大規模修繕工事と管理費削減が一息つく今のタイミングで理事を降りることにしている。投資マンションで自分たちが理事を降りると他になり手がいなくなってしまう。
  6. C社は自らがマンションの管理者へ就任するサービスをやっていないため、上述のコンサル業務終了後にメルさんへバトンタッチして、プロ管理者としてマンションを管理してもらいたい。
  7. C社は「深山はもともと自分のところ出身なので、彼の会社が管理者を引き受けるなら大丈夫」と太鼓判を押していた。

ん~理事の皆さんからこれらの話を聞いても、なお本音が見えてきません。

3.:がまず怪しい。ちょっと面倒な区分所有者って、こういうときは小さく見せるよな、と。
5.:これもしっくりこない。管理組合にとって骨の折れる『大規模修繕工事』『管理費削減』という2つの仕事を終えて、これから当面は理事会運営に大きな課題もないはずで、理事会運営は楽になるであろうに、なぜこのタイミングで理事を降りるの?
6.7.:これも然り。C社は理事会顧問のような継続的サービスを多数引き受けているだろうに、なぜゆえに管理者の仕事を引き受けないの…?しかし、お世話になったC社の社長から間接的に褒められ、つい気分を良くしてしまった(笑)

 

■また直感が働いたんですね。

はい。まぁ、なにかあるよね、と。

ここで考えます。
面倒な区分所有者という方がクレーマーだったとしても、仕事柄慣れているし、C社が大きな仕事をやり終える後は大きな課題も見当たらない。これらを考えると、多少のリスクはあってもお引き受けするだけの価値はあるなと…。

しかしながら、何より当社を訪問された理事の皆さんから「ご指名」でオファーしていただいたし、とても良い方ばかりであったこともあり、無碍に断るだけの理由はなく、結局A管理組合の管理者をお引き受けすることとしました。

 

■引き受けたんですね!それで、どうなりましたか。

当社が管理者に就任し、理事会を廃止したことで、A管理組合の役員は、管理者である当社と、当社へ来訪されなかった、唯一のマンション内に居住する監事の2名となりました。

そして程なく、こんなことが次々と発生したのです。

  • なんと、当社を訪問してくれた元理事が、次々と部屋を売却して、出ていってしまった!
  • 大規模修繕工事の設計監理(コンサル)を引き受けていたC社が、施工業者の選定を終えた時点で急に契約終了となりA管理組合から撤退した!

工事監理は誰がやるんかい⁉と。

まぁ、結局、当社がA管理組合から管理者報酬とは別に工事監理報酬をもらって引き受けることになるのですが…。

C社による管理費削減コンサルを終えて最終的に管理会社が変更になったのですが、元理事がいなくなり、C社もいなくなり、そして旧管理会社もいなくなった。

つまり、簡単にいうと、A管理組合には、着任したばかりの『新米管理会社』と『新米管理者(当社)』と『ほぼ面識のない監事』だけがプレーヤーとして残ったのでした。

いや、もうひとり、、、例の『ちょっとだけ面倒な区分所有者のB氏』がいた!

 

(次回へ続く)

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