【デベロッパー・管理会社経由、北関東のマンション管理士 白寄和彦のコラム】管理会社との関係 その2

「マンション管理の本業ではなかなか利益がでない」と聞きます。

その背景には、管理会社の資格や業務を厳しく監督し、消費者の保護を目的にした「マンション管理適正化法」が施行され、組合と管理会社との業務委託契約の自動更新が認められなくなったことが影響しています。

この法律によって、委託契約を更新してもらうためには、業務内容が変わらずとも、理事長に前もって契約の内容、金額、期間(1年)などの重要事項を説明する必要が生じました。また、組合に不利益となる従前と異なる内容、例えば委託料の値上げや管理のスペックダウン等が契約に含まれる場合は、組合員全員を招集して「重要事項説明会」を開催することが義務付けられたのです。

更に、最終的に管理委託契約の更新は、組合の最高意思決定機関である総会の決議事項で、毎年総会に議案として上程されるわけですから、組合員は否応なく委託契約を意識せざるを得なくなります。管理会社の業務は適正に行われているのか、組合が支払っている業務委託料は自分たちのマンションの管理仕様に見合った妥当なものなのかを改めて検討するきっかけとなります。

こうして、マンション管理適正化法の施行は、自動更新という管理会社に多分に都合のよい慣例を改めさせ、管理業務委託契約を組合員にとって身近な存在にさせる目論見どおりの結果を生みました。

現在では、管理会社の側から契約条件の変更を求めたり、業務委託料の値上げを申し入れることはめっきり少なくなりました。「はい、わかりました」と提案に回答をしてくれる管理組合はなかなかありませんし、そうすることが結果的にやぶへびとなり、管理会社は業務委託料の削減や管理会社のリプレイスに繋がるリスクを恐れるからです。

今もおそらく先々も、管理会社の体力を奪いつつ収益を下げていくであろうと思われるのが、フロント担当社員による「管理組合運営の支援・補助業務」です。総会・理事会の運営支援・補助がこの業務に当たります。最近はとくに、管理組合からフロント担当者のスキルのレベルアップを要求されたり、彼らの資質を問われることが多くなったと感じます。また、彼らが求められる業務内容は以前とは比較にならないほど増大しつつあるのが現状です。

これは総会・理事会の運営補助業務の「支援・補助」という言葉のあいまいさに起因しています。本来であれば、新たに個別的な補助業務が発生した場合、組合に追加業務として承認してもらい、相当の費用を請求することができます。

しかし、あいまいさ故に、新たな業務は管理組合にとっては都合よく補助業務の一環として拡大解釈され、管理会社は多少の抵抗を示しつつも無償で引き受けざるを得ない。このような構図で、彼らの無償の支援・補助業務は確実に増えていき、管理会社は人事面及び収益面で非効率な経営を余儀なくされていきます。

次回、さらに具体的に紹介していきます。

積水ハウス株式会社 宇都宮支店長・水戸支店長・札幌支店長を経て、関西第二営業本部長。その後、積和不動産株式会社に移籍し、分譲マンションの管理事業とめぐりあう。東京・神奈川に展開する「グランドメゾン」シリーズを手がける。積和不動産株式会社役員・顧問を経て、2017年に事務所を開業する。栃木県小山市出身/家族は妻と二女

One thought to “【デベロッパー・管理会社経由、北関東のマンション管理士 白寄和彦のコラム】管理会社との関係 その2”

  1.  「総会・理事会の運営補助業務の「支援・補助」という言葉のあいまいさに起因」は同感です。
     解決するためには、管理会社が具体的に、どの程度のことをするか明らかにしないと、管理組合で明らかにできる人は、まずいません。
     理事会なら、理事会議案書の作成や、瑕疵の無い議事録の作成等です。
     総会も同様で、瑕疵の無い議案書の作成、委任状の確認、定足数や議決件数の計数、賛否の数の確認、議案可決否決の確認等です。
     他のことでも、具体的に管理会社が明示しないと、素人の管理組合が明らかにすることは不可能です。

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