【授業のポイント】
- 管理会社から見せられる写真の秘密
- 中間マージンとバックマージンの仕組み
- 長期修繕計画の全面見直しを
こんにちは 立直舞蹴です。
二郎丸の講義の続きにトライします。
二郎丸の講義では、管理会社から12年目予定された長期修繕計画を見せられ、修繕積立金の不足から借入の提案を受けてしまった理事長の訴えをもとに、長期修繕計画はあくまでも「目安」であることをお伝えしました。
今日は、「そもそも、大規模修繕工事が12年目に必要なのか?」について話したいと思います。
大規模修繕工事の見積書が管理会社から差し出される際、建物の状況を調査した報告書が提供さます。そこには恐らく、建物にヒビやサビがついている写真が載っていることでしょう。
このような写真を目の当たりにし、見積書をプロから示されれば、「これは相当痛んでるから、言われた通り工事をしなくてはならない」と思うのが当然でしょう。
ところで、この管理会社から提示された建物調査の報告書___。
もし「真実を反映していなかったら」どうしますか?
いやいや、「偽造されている」という意味ではありません。
実はあなた。劣化や損傷の激しいところばかりをピックアップされた報告書をみて、「建物全体の状態が悪いんだ…」って勘違いしている可能性があるんです。
そもそも、「建物の劣化調査をしたら予想通り劣化が進んでいました」「そろそろ予定通り大規模修繕工事の時期ですよ」「うちへ発注をお願いします」「安くしますので当社へぜひご用命を」って、流れができあがっていると思いませんか?
フロントマンからはこのような説明があるでしょう。
「他の施工業者に比べて、管理会社は日常管理をお引き受けているので、建物のどこが悪いかがよくわかっていますし、下手な工事をしても逃げられません。ですのでご安心下さい」
でも、そのセリフ。
実は管理会社が大規模修繕工事の受注営業するときの常套文句なんです。
管理会社も営利企業ですから、適切なビジネスをすることに問題はありません。
しかしながら、急いで工事しなくて良い時期なのに、高い見積もりを持ってきて、相見積もりさせず工事を受注しようとしている管理会社。この存在が実に多いことに私は驚かされます。
人件費などの高騰で厳しい経営環境においても、簡単に委託管理費を上げられない管理会社にとって、大規模修繕工事の受注で得る利益は死活問題ともいえますからね。管理会社が得る中間マージンやバックマージンの仕組みは以前講義をしていますが、リマインドしますと、
ほとんどの管理会社は、「毎月の管理委託費の中で理事会の支援を行う」と言いながら、修繕工事の際には、
- 自らが施工業者の立場になって、工事の受注を目指す。実際に工事を受注したら、下請け業者へ丸投げしてマージンを取る。
- 施工業者の立場が叶わぬ場合、複数の業者から『相見積もり』を取って、管理会社が意図する業者が選ばれるようにする。そしてマージンを取る。
のいずれかの道をとります。
私は、管理会社が作成した長期修繕計画の全面見直しをお勧めします。
想定される修繕工事の周期を可能な限り長く延ばし『不急の工事』計画にすることが望まれるからです。
さらに、個々の修繕工事における想定額を、複数の施工業者から競争見積もりを取得し競争原理を働かせる前提での金額を想定することで、『割高な工事費の計画』にならないようにする必要があります。
ともにスクラムを組んで、笑顔でノーサイドのホイッスルを聞きましょう!!
写真はインチキの可能性が高く、他マンションの劣化がひどい写真を見せるのは経験済みで、おかしいと思った理事が見破りました。
中間マージンやバックマージンは、見破られる可能性が高く、この頃は、他の手口が流行っています。 手口は申し上げられませんが、専門家でも見破れませんし、書類からも発見できません。
長期修繕計画は見直しだけではすみません。
高齢化対策や、経済情勢の見通しも必要なので、誰にもわかりません。
すまいる債を積み立てている管理組合はマシですが、次の大規模修繕を控えている管理組合で、変動金利の民間金融機関の融資を受けている管理組合では、一刻も早く対策が必要です。
少ないとは思いますが、施工会社が管理会社と繋がりが少ない、または無い場合は、当初図面等の保管が期待できるので、劣化度合も瑕疵も発見できる可能性があります。
今時、設計監理方式にまともに取り組むコンサルなど期待できませんし、当初図面等がない場合は、劣化度合い等も分かりません。
施工会社も不適切コンサルや、法令強化等で体力を失っていますから、まともに入札に取り組むところはありません。
器用人さん。コメントありがとうございます。見破りましたか!!