【マンション管理組合の教科書】暴走理事長を「解任」ではなく「解職」する

授業のポイント

  • 最高裁で理事長の解任が可能に
  • 「解任」ではなく「解職」という考え
  • マンション管理規約改正のポイントと、ルール作り

 

 

授業を受けもつ、サカ&シュージです。

平成29年12月18日、最高裁判所が管理組合の理事長の解任を認める判決をしました。
判決文は少し難しいので要約しますが、マンションの規約で理事長を理事会の互選で選出できる定めがあるなら、同じように理事会の多数決で理事長を解任することができる、というのものです。

理事会の多数決で解任ができるということは、「理事会に出席した理事の過半数」で理事長を解任できることになります。例えば、理事が10名で理事会への出席者が7名だった場合、その過半数は4名なので、4名が賛成すれば理事長を解任できます。

こうやって見ると、悪意のある理事が結託したら、まともな理事長でも簡単に下ろせそうな気がします…。

実は、この法廷での争いが明るみとなる前に、ある理事長から「将来起こるかもしれない理事長の暴走を止めるための予防的なルールはないか?」との相談があり、あるアイデアを提案したことがあるので紹介したいと思います。

理事長を解任ではなく解職とする考え方

「解任」とは、理事長はおろか一理事としての活動も辞めてもらい、一組合員に戻ることを可能とします。住人の総意である総会の決議ではなく、理事会の決議でそれができるとなると、少し乱暴のような気がします。(総会で個人をやり玉にあげるのも何ですが…)

そこで、理事長職を解いて一理事にする、「解職」という考えはいかがでしょうか。

皆さんのマンション管理規約は、国の定める標準管理規約をベースにしてると思いますので、

第35条 管理組合に次の役員を置く
2 理事及び監事は、〇〇マンションに現に居住する組合員のうちから、総会で選任する。
3 理事長、副理事長および会計担当理事は、理事の互選により選出する。

ここへ、新たに、

4 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事会の決議により解職(役員の任を解くことなく、役職のみを解くことを指す。以下、同じ)する。

第54条 理事会は、この規約に別に定めるもののほか、次の号に掲げる事項を決議する。
六 第67条に定める勧告又は指示等
七 総会から付託された事項

ここへ、新たに、

八 理事長、副理事長および会計担当理事の選定及び解職

を挿入するというものです。

これで、理事長が暴走したときに「理事会の決議で解職」することが可能となりますが、同時にいくつか検討したほうが良いことがあります。

  1. 管理組合が平和で和議が集まりやすいうちに、「予防的な観点」で早めに改定を。管理規約の改定には4分の3以上の賛成が必要なためハードルが高いため。
  2. 言葉と定義を明確に使い分ける。理事が住民から総会で選ばれるのは「選任」、総会で辞めさせられるのは「解任」、理事の間で役職を互選するのは「改定」、理事会決議で役職を解くのは「解職」。
  3. 次の理事長が選定されるまでの引継ぎルールを定める。理事長が解職された場合、副理事長が暫定的に理事長職を務めるなど、管理組合活動に支障が出ないようにする。
  4. 解職のハードルを上げる。理事会に出席した理事の過半数で解職となると、少ない人数で解職できる可能性が高いため、理事の「4分の3」とか「3分の2」の賛成で決議できるようにする。

理事長暴走という、あぶない事態に備えて、皆さんのマンションでもいかがでしょうか。

マンション管理組合の学校、授業の監督と撮影を担当する風呂澤(ふろさわ)です。個性あふれる授業を、余すことなく、最高の撮影技術(自称)でお伝えします。

One thought to “【マンション管理組合の教科書】暴走理事長を「解任」ではなく「解職」する”

  1. 当該最高裁判決分の一部を引用します。
    理事の互選により選任された理事長について理事の過半数の一致により理事長の職を解き、 別の理事を理事長に定めることも総会で選任された理事に委ねる趣旨と解するのが、 本件規約を定めた区分所有者の合理的意思に合致するというべきである。 本件規約において役員の解任が総会の決議事項とされていることは、上記のように解する妨げにはならない。

    理事長の職を解いて引き続き理事を務めていただく前提での争いであったことを誤認されていませんか?

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