授業のポイント
- 新しい入居者にいつもの資料、だけでは伝わらない
- ウェルカムガイドブックでトラブルの未然防止
- 理事の積極的な係わりが、資産価値向上につながる
授業を担当する、蒔田津士男(ほきたつじお)です。
あなたは、ある分譲マンションの理事長です。
このたび、401号室に新しい入居者が引っ越してきました。さて、理事長のあなたは何をしますか?
この質問に、「は?」となっちょった方!……まぁ、それが普通じゃろ。
そんなあなたに提案したいことがあるんじゃ。…それは、新しい入居者用の「住まいのオリエンテーション」資料の作成。
これは、入居時に管理会社から手渡される「生活のしおり」に似てますが、全く違います。基本的にどのマンションでも使用されている「生活のしおり」には、引っ越しの手続きや、電気・ガスの開設方法、役所の連絡先、ゴミ出しルールなどが書いてありますが、イラストや写真など入っていない殺風景な資料で、読んでおいてください、の体で、入居者に手渡されます。
そのほか、管理規約などのお堅い資料をドサッと追加されたときには、「面倒だ、そのうち読もう」となるのが、まぁ、普通じゃのぅ。
こうなると、マンション独自のルールや慣習など、後から来た入居者の理解がないまま、
「管理費を払ってるんだから、なんでも管理会社に任せて大丈夫」
「ペット不可と書いてないから、何も気にせず犬が飼える」
などの間違った概念で、生活をスタートされる可能性があります。
___実は、新しい入居者が引き起こすトラブルはかなり多いんじゃ。
今回提案する「オリエンテーション資料」は、入居時に最低限必要な情報が載っている資料をベースに、管理組合として新たに作成したツール。管理組合とは?理事会とは?総会とは?といった、マンション運営に関するものや、生活音トラブル対処法、近隣の便利マップなどを載せるといいのぉ。
ちなみに、マンション管理事務所が作成した、あるマンションで使用しているものはこんな感じ。
その名も、ウェルカムガイドブック。
なぜ、管理組合が作成するかというと、
- 管理組合が入居者を迎い入れる側として主体的に関わったほうが、実感のこもった「伝わる資料」となる。
- イラストや写真が入った楽しい資料の方が視覚にも訴えられえる。
- マンションで起こったトラブル事例を載せるなどして、入居者に注意喚起ができる。
- 入居者とのコミュニケーションが、最初の段階からとれる。
- このようなハートフルな取り組みが、資産価値の向上につながる。
といった、実に多くの理由から。
千葉にあるブラウシアマンションでは、入居者のオリエンテーションを必ず実施していて、その様子は情報番組「ガイアの夜明け」でも取り上げられちょった。現在は、マンション管理士からバトンタッチを受けた管理会社のフロント担当が、オリエンテーションの中で説明をしているけど、このマンションが素晴らしいのは、理事の数名がその場に立ち会っていることなんじゃ。
実際にオリエンテーションを受けた方に感想を聞くと、不安でいっぱいだった新生活の緊張が解けてよかった、と大好評。
せっかくきれいな資料を作ってもポンと渡すだけでは効果は半減。ポイントは、可能な限り現職の理事が同席することと、オリエンテーションの資料を新しい入居者と「読み合わせ」することじゃ。そう、むかし話のように。