【ゼネコン、デベロッパー経由、マンションのかかりつけ医 井上毅 渾身のコラム】管理会社に工事を頼むと割高になる理由(その1)

最近は管理組合が修繕工事などを、工事業者に直接発注することが増えています。管理会社に依頼すると工事費が高くなりやすく、それが管理会社への不満にも繋がりがちです。

今回はなぜ管理会社に工事を頼むと割高なのかを解説したいと思います。管理会社のボッタクられていると思っている方は、ぜひ読んでください。

工事費と言えば、工事にかかる費用全てが見積書に記載されています。例えば壊れた手すりを交換する工事だとすると、手すりの材料費、工事をする人の工事費だけでなく、交通費や駐車場代、消耗品代などが加わります。

手すりを直接マンションに納入するのではなく、メーカーから施工会社で一旦保管する場合は、保管料が加わることもあります。それに会社の経費を加えて、工事費が決まるのです。

工事費が高いか安いかを議論する際に、材料費と工賃ばかりに気を取られがちですが、遠方から業者を呼べば交通費は高くなりますし、敷地内に駐車場がなくて外部に止める場合は駐車場代がかかります。さらに都心部など駐車場代が高額なところでは、それだけでかなりの額になってしまうこともあります。都内には1時間で3000円を超えるコインパーキングがありますが、そういうエリアで仕事をすると8時間駐車するだけで2万円を軽く超えてしまいます。

そして工事費には「諸経費」と書かれた項目があります。諸経費とだけ書かれて金額が記載されているので、これが何なのかわからないという方も多いでしょう。「経費が高い」という声もよく聞きますし、中には「経費をサービスしろ」なんて声が出ることもあります。そもそもこれはなんなのでしょうか。

 

 

主に経費には現場管理費と一般管理費が含まれています。それぞれ、どういったものが含まれているのか書いていきましょう。

現場管理費

労務管理費:現場監督が現場を管理する費用。
保険料:労災保険や瑕疵担保保険の費用。
通信費:工事の際に連絡を取り合う携帯やファックスの費用
機材損耗費:機械を使用するといずれ交換が必要になるので、その費用。

一般管理費

労務費:会社の従業員の給与。
広告宣伝費:チラシやwebなどで宣伝に使っている費用。
家賃:事務所の家賃など。
運営費:会社の光熱費や備品代など。
租税公課:印紙税、登録免許税、自動車税など。

最近は、なんでも「諸経費」としてまとめてしまうのを嫌う人もいるので、現場管理費の労務管理費などは別に書いてあることもあります。また交通費を諸経費に入れて書いてある場合もあれば、別に項目として書いてあることもあります。そのためどの会社の経費も、この内容というわけではありません。

<その2につづく>

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