【マンション管理組合の教科書】ペットクラブの歴史

授業のポイント

  • マンションの「ペットクラブ」は増加傾向
  • 専有面積の増加とともにペットともに生きるという需要が
  • ペットクラブは新築に分譲開発会社が用意した受動的な組織

 

授業を受けもつ、坂下犬(さかしたけん)です。

ペットクラブとは、ペットの飼育可能とされるマンションにおいて、ペットの飼い主たちが会員となり運営されている組織です。ペット可の賃貸物件は少ないですが、分譲マンションは増加傾向にあります。新築マンションではペット不可を見つける方が難しいほどです。

このようなペット可のマンションでも、動物アレルギーをお持ちであるとか、あるいは、そもそもペットが苦手な住人がいる可能性があります。そのため、すべての住人が心地よいマンションライフを送れるよう、さまざまなルールが存在します。例えば、体長50cmまでの小型犬までに限るとか、共用部ではゲージに入れるか抱えるかしなければならない、などです。

今日の授業では、まだ歴史の浅い、この「ペットクラブ」という組織が日本に誕生した歴史について学びたいと思います。

日本では第二次世界大戦以降、1960年代あたりから高度経済成長のなかで人口が増え、人々が仕事を求めて都心(特に首都圏や近畿圏)に移り住み、インフレが進む中で、高額の一戸建てを持つことは夢となり、一戸建てより安価な分譲マンションや分譲団地が爆発的に増えました。いまや首都圏や近畿圏などの都市圏を中心として1,500万人以上が分譲マンションに暮らしています。

当時の分譲マンションは50㎡程度の3DKが中心で、そこに4~5人家族で住むのが一般的でした。また、この頃の日本においては、ペット(特に犬)は長らく「屋外で(番犬として)飼育するもの」でした。ペットを室内で飼育する生活スタイルは富裕層に限定されていました。
そのため、当時の分譲マンションや団地では「ペットクラブの設立」以前に「ペット飼育は禁止」で売り出されていました。2000年頃までに分譲されたマンションや団地は、今でも「ペット飼育禁止」のルールを維持しているところがほとんどです。

一方、1990年代にバブル崩壊(経済成長ストップ)が発生し、現在に続くデフレの中でマンションの価格が落ち着き、人口が減少し始めるとともに核家族化が進んだ2000年以降になると、50㎡の部屋に1~2名の家族(夫婦や一人暮らし)が住むか、70~80㎡の部屋に2~3名の家族で住むようになりました。家族の人数が減り、一人当たり専有面積が増えるに伴って、「家族の代わりにペットを飼育する」という需要が生まれました。

マンション分譲開発会社としても、好景気時代に一貫していた「室内でペット飼育禁止」というルールが、却って販売の足枷になってきたことから、マンション販売戦略の一環として「ペット飼育可能」なマンションを多く開発するようになり、現在に至っています。現在の新築マンションで「ペット飼育禁止」の物件を探すことは不可能なくらい、ペット飼育可能なルールを設定するマンションばかりになりました。

しかし、ペット飼育可能なマンションが増えると同時に「ペット飼育にまつわる住民間トラブル」が多発するようになったことから、分譲開発会社が「ペット飼育可能」なルールと共に「ペット飼育者がお互いにルールを守り合うことでペット飼育にまつわるトラブルを減らすことを目的として」ペットクラブを用意するマンションが増えています。

日本の分譲マンションでペット飼育可能なマンションが増加したのが2000年頃からのため、当然ながらペットクラブの歴史も、20年程度しかありません。そして、最も大切なことですが、ペットクラブは、マンション購入者が入居後において主体的かつ自発的に立ち上げた組織ではなく、新築時に分譲開発会社が用意した「ペット飼育者=強制加入するルール」として用意された「受動的な組織」と言えることです。

次回の授業では、管理組合に寄り添い続けたマンション管理士だから見える、ペットクラブの実態をお伝えします。

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