【マンション管理組合の教科書】マンション理事を拒否する住人への対応(その3)

授業のポイント(幽霊理事をつくらない3つのポイント)

  • 理事会の日時を事前に知らせる
  • 代理出席者の範囲を広げる
  • オンライン理事会のススメ

授業を担当する超男太郎(ちょうなんたろう)です。今回は、理事会役員の選出の際に注意すべきことをお話しします。

その前に、前回の授業で、理事を引き受けるのか、引き受けないのかではなく、

①時間と体と頭で管理組合に貢献するのか(つまり理事を受任するか)

②お金で管理組合に貢献するのか(つまり理事会活動協力金を納めてもらうか)

の二択を提供しましょう、というところまではご理解いただけましたか?

あとで「言った・言わない」「理事会役員への就任を受任してくれたのに、実際に理事会へ参加してくれなかった」とならないように、上述の意思表示はしっかりと取りましょう。

それでは、本題に入りましょう!

意思確認をする時に重要なことは次の3つです。

①想定される理事会開催の曜日や時間帯を事前に伝える
せっかく理事会役員を受任してもらっても、理事会を開催する日時に仕事などが入っていたら、物理的に参加できません。

これまでは、理事会開催日程は来期の理事会役員が集まった段階で(例:総会で選任が承認された後)、集まった理事会役員の間で『最も多くの理事会役員が出席できる最大公約数の日程に設定する』のが一般的ですが、これでは数名の「その曜日や時間帯は仕事で無理」という脱落者がでて、結局理事会の出席率が下がることになりますよね。
ですので、単に「理事会役員を引き受けて頂けますか?」という確認だけでなく「理事会の会合は基本的に月◯回程度、◯曜日の午前に行う予定ですが、出席できますか?」という確認が必須になります。

なお「理事会1回当たりの会合時間(想定)」も事前に伝えることをおすすめしています。せっかく理事会役員を受任してもらっても、会合の時間がその方の想定よりも長い場合、途中退席されたり欠席されては意味がありませんから。

②理事資格者または代理出席者の範囲を拡大する(管理規約の改定が必要です)
あなたのマンションでは、管理規約において、理事会役員を引き受けることができるのは「組合員のみ」と設定されているかもしれません。

組合員=区分所有者=マンション購入者=名義人、ということです。つまり理事会役員を引き受けられるのは、マンションの所有者のみで、その部屋に同居する人(配偶者などパートナー)には理事会役員になれる権利が無い、ということになります。
もっとも実際には、組合員のパートナーが組合員本人に代わり理事会に出席しているところは多いと思いますが、そもそも「組合員以外の一人が理事会役員になることができる」ようにルールの改定を行うことができます。

例えば、理事会役員に就任できる人の範囲の拡大を検討しましょう。例えば、
同居する配偶者(法律婚だけでなく事実婚の相方まで広げる)
同居する子供や親(一親等の親族)
同居する祖父母・孫・兄弟姉妹(二親等の親族)
同居するおじ・おば・おい・めい(三親等の親族)
同居する、上記以外の者で、特別に理事会が承認した者
同居していない配偶者、親族、特別に理事会が承認した者
といった具合にです。

「理事会が承認した上記以外の者」とは、組合員本人が信頼できる人、かつマンションの管理運営に協力いただける方であれば、いとこでも、はとこでも、遠い親戚でも、友達でも、本人の介護者でも、認めてしまう、というものです。
平成から令和の時代になり、家族のカタチは多種多様になりましたし、法律婚か事実婚かで区別するのもナンセンスです。要は組合員本人が信頼できて、マンションのことを一緒に考えてくれる人であれば、理事として受任することを認めてしまおう、という考え方です。

「理事会役員として名を連ねるのは組合員または近しい人でないとちょっと、、、」と思うのであれば、理事会役員自体を受任できる範囲は狭めつつ、毎回の会合に代理出席できる方の範囲を上述のように拡大することも可能です。

③オンラインでの理事会参加も「出席扱い」にする(管理規約の改定が必要です)
コロナ禍が契機となり、すでに「オンライン(例:Zoom)での理事会や総会参加も出席扱いとする」ことに抵抗がなくなりつつあります。

実際に国土交通省が例示する「標準管理規約」においても、このオンラインでの会合参加を出席と認める前提のサンプルが出ているほどです。
理事会の会合へオンラインで出席できるようにすれば、例えば「理事会開催日は仕事の可能性が高いが、職場からオンラインで出席できる」「外部に居住する組合員でもオンラインで出席できる」と、出席チャンスが増えることになり、理事会役員を受任できる人が増えるかもしれません。

実際に、オンラインでの理事会出席も可能である旨を理事会役員候補者へ伝えることで「それなら理事を引き受けられそう」「出席できそう」「地方に住んでいてリアル出席は無理だけどオンラインなら参加できる」と、積極的に理事会役員を受任してくれるようになったという報告を受けています。
どうしても理事会当日に仕事が入ってしまった理事が、職場からオンラインで出席するなど、開会の理事会の出席率がさらに向上することに貢献し、移動中の電車やクルマの中から理事会に出席してこられる強者もいたようです。

なお、理事会にオンラインで参加できる環境を作る必要があります。オンライン接続するためのノートパソコンやWi-Fi・スピーカーマイクを理事会で用意している管理組合も少なくありません。「理事会役員を引き受けるハードルを下げ、受任しやすい環境を作る」ことが重要なのです。

次回は理事会協力金制度についてお話しします。タァァァ!

※理事会役員候補への意思確認書面サンプルはこちら

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA


アーカイブ