マンション管理士という資格。名まえのダサさとは異なり、合格率7%とか8%の世界で、実は合格への道はなかなかをもって険しいです。そのくせ、弁護士や公認会計士のように、その資格を持っていなくてはできないという業務はなく、この資格だけで飯を食うには、桶狭間クラスのさらなる険しき道が待っています。
マンション管理組合にとって一番重要なことは「組合員をまとめ、いかに合意形成できるか」であり、そのための道筋をつくれるかが、マンション管理士の存在意義。わざわざ貴重な経費をねん出してまでマンション管理士を雇うわけですから、ファシリテーター(会議などを円滑に運営、管理する進行役)としての役割をマンション管理士が担えないようでは、まずをもって失格というわけです。
全く別の業界に身を置くわたしは、未知の世界であるマンション管理という世界における最高峰の資格を、うだるように暑い日も、すきすさぶ嵐の日も、半ば意地になって必死になって勉強しました。やれ鉄骨がどうのとか、下水道がなんちゃらとか、「知らんがな!」と思いながらも、ググった画像で確認するなどの地道な努力を続け、2回目の受験で辛うじて合格するわけですが、ファシリテーターとしての能力が重要であることは、受験勉強をしていた時には全く知らなかったことです。
そして、資格をもっているからとか、マンション管理業界だからということに関係なく、周囲をひとつの方向に導くためのスキルとして、時として「言い切る」ことは、とても重要なことだと痛感しています。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
大学時代のアルバイトは、横浜の某一流ホテルの配膳をしていました。
__とある披露宴。時代はバブル。
全ての照明が落とされ、緊張感漂う会場に、ホイットニーの透明なボイスが静かに流れる。
「Will Always Love You」
直後、漆黒を貫く強烈なスポットライトが映し出した先は、白いスモークの中から現る純白のタキシードとウェディングドレス。金に糸目つけぬ演出で、100人を超えるゲストを迎えた、とても偉い人のご子息の宴は、煌びやかにその幕を開けました。
本日の披露宴、フレンチフルコース、最高ランク。乾杯は、 モエ・エ・シャンドン アンペリアル。
白と緑のラインが繊細で涼しげな前菜のテリーヌの次は、高級食器ノリタケの底面を透通す、黄金色に輝くコンソメスープ。
……ところで皆さんは、「ウミガメのスープ」というミステリーをご存じでしょうか?
ある男が、とある海の見えるレストランで「ウミガメのスープ」を注文しました。
しかし、彼はその「ウミガメのスープ」を一口飲んだところで止め、シェフを呼びました。
「すみません。これは本当にウミガメのスープですか?」
「はい・・・ ウミガメのスープに間違いございません。」
男は勘定を済ませ、帰宅した後、自殺をしました。何故でしょう?
数日前、この難問に挑んだ私は、他の誰よりも早く答えを導きだし、女性陣から艶を帯びた眼差しを向けられる(自称)という奇跡を起こしていました。
__さて、場面は披露宴会場に戻り、私の担当した親族席のおばちゃん。
「この、スープに浮いてる、ツブツブは何かしら?」
私。
「ウミガメの卵でございます。」
おばちゃん。
「あら、やだ。としこさん、これウミガメの卵ですって!!」
としこさん。
「あらぁ~!!え~やだ~、みなさん、これウミガメの卵ですって!!」
(親族席テンションMAX)
今だから、わかります。あれは…